34 / 38
第34話
「今頃、優斗と奏斗、盛り上がってるかなあ」
大貴の部屋。ベッドに恭一と並んで座り、恭一は嬉しそうな隣の大貴の笑顔を見つめた。
「だな、安心した」
「蓮太と出来てた訳じゃなくって良かったー。協力してくれて、ありがとう、恭一」
「まあ、別に、奏斗とイチャイチャして、優斗を心配させれば良かっただけだし...にしても」
「うん?」
「俺もさ、本当言うと少し心配だったから、安心した」
「...心配?」
恭一は大貴と向き合った。
「お前がさ、王子から食事に誘われた、て聞いたとき、本当は少し心配だった。お前と王子が出来ちゃうんじゃないか、て」
「...王子が俺をタイプな訳がないみたいに言った癖に」
「そりゃ、お前をタイプだと思っていいのは俺だけだから」
ポカン、としていた大貴だったが、見る見るうちに真っ赤になった。
「そ、それ、どういう意味」
「こういう意味」
恭一は大貴の顎を持ち上げ、大貴の唇に唇を重ねた。
「な、な、なにすんだよ!」
「嫌だった?」
「い、嫌じゃない。嫌じゃないけど...!」
「お前が嫌なら諦める」
大貴は真っ赤な顔を俯かせ、恭一の浴衣を握った。
「い、嫌じゃない...」
恭一の腕が伸びてきて、抱きすくめられた。
「腐れ縁だけど。お前だから、ずっと一緒にいたい。誰かの為に一生懸命になれるお前が好きだ」
「う、嬉しすぎてヤバい...」
と、その一方。
慶太と蓮太の部屋。
ツインの1つのベッドで、蓮太がハリセンでしばかれ、眠っている傍ら、ベッドに座り、慶太はスマホでゲーム中。
「こ、ここは...」
目を開くと、あちこちに力士のポスター、自室だと気がついた。
「あっ、起きたー?蓮太」
むくっ、と蓮太が起き上がる。
「ヒート起こした奏斗に蓮太、反応しちゃったからさー、ハリセン借りたー」
「...嫉妬したんだろ」
「え?」
「奏斗さんに反応したから、兄ちゃん、嫉妬して、ハリセンで張り倒したんだろ」
横目で慶太は蓮太を見た。
「な訳ないじゃーん。優斗の彼氏に盛るなって、それだけだもー」
蓮太は浴衣の背後に手を伸ばした。
「....ハリセンがない」
「隠したー」
ペロ、と慶太が舌を出し、おどけるが....
蓮太はわなわなと震え始めた。
ともだちにシェアしよう!