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暑苦しい愛

清太郎は咲に強請られた為に珈琲豆を挽くことにした。 「セイ様が案外僕の事大好きだと嬉しいですね〜」 「どうだかねぇ。」 「僕はセイ様が大好きですから、両想いだったら嬉しいですけど、片想いでも甘酸っぱくて楽しいですね。僕に隙はありません。」 例え清太郎の大勢の一人でも、それは自分が清太郎を好きである事とは関連がないと考えている。 捨てられない限り幸せであるし、もしかしたら捨てられても興奮してしまうかもしれないなあと、春斗は考えている。 「珈琲僕にいれさせてください。お仕事が欲しいです。」 「サイフォン使えるのか?」 「使えませんでした。ドリップなら……」 「まあいいか。」 清太郎はドリップのセットをして、浮かれた雰囲気の春斗に引き継ぐ。 ケイの一言だけで、こんなに浮かれられるのは、才能に違いないなと思いながら、清太郎は散らかしていた仕事の書類やパソコンを片付けた。 程なくして、ネグリジェからラウンジウェアという、どういうことなのか常識を疑う変化しかしていない咲がやってきた。 「周年ウィーク中のショーの事でね、お店の子達から嘆願書を渡されちゃったのよ。」 「嘆願書って……何か問題があったのか?」 「セイちゃんの受け手はハルちゃんでショーをやって欲しいんですって。」 春斗の呼び名がハルちゃんに進化している。 親近感を持たれた様な気がして、春斗はくすぐったい。 「はぁ……そんなこと……」 「素人のM男心としては、ショーの受け手は女の子の方が見栄えがするのではと思うのです……感情移入する楽しみもありますし……M男だと嫉妬するので。」 「まあ、M女さんからしたら同じ理論で男性の方が良いのかもしれないわね、私達がM男をショーで使わないもの。スタッフにとってもお祭りだし、私としては構わないんだけど、ハルちゃんは受け手をやることについてはどうかしら?」 「僕はセイ様とお店次第で構いませんけども。」 「店の子達に、お客様からの投票で希望の相手とやると伝えておいてくれ。」 「それは楽しそうね!投票の為に女の子も沢山来店してくれるでしょうし。投票箱を作らせなきゃね!」 咲は冷め始めた珈琲を一気に飲み干してから、立ち上がってそのまま帰ってしまった。 「咲様は、お家だとちょっとかわいいですね。」 「気が抜けると落ち着きのない無邪気なおばさんだよね。」 「おばさんには見えないですけどね……」 「腹減ったな……」 「何か作りましょうか?」 「いや、俺が作る。」 「セイ様の手料理!!なんたる贅の極み!大好きです!」 「気持ち悪いなあ……」 「あ、あっああ……あのあの……何で、なん、なんでぇ、こんなことにぃいん……んぅ……」 春斗はリビングの窓を十字に走るそれ用の鉄骨に取り付けられた金具に両手を広げて拘束され、ペニスには低周波をランダムに繰り出すコックリングが繋げられて放置されていた。 「名品らしいよ。咲様お気に入りの、私が若い頃からある電気のやつって呼んでるやつ。」 「めい、めい、めいひん、ですぅ……ケドぉ……そう、じゃ、なくて……」 「料理してる間退屈だろ?」 「そんなコトっ、セイ様、眺めてれば幸せで……す……うんあああ」 「アハハハハめちゃくちゃ好きじゃん。信じられん。チンコ虐められて、よくそんなに床汚せるもんだよ。」 「ごめんなさい……ごめ……ごめんなさい……」 「変態だね〜」 「ひぃんっドヘンタイです、ごめんなさい、ごめんなさいいい」 「せいちゃーん、私の分のお昼ご飯もあるー?あらーやだー遊ぶんなら鍵閉めなさいよ〜不用心ねぇ。」 「忘れてた。」 「あぁ、咲様!?見ないでぇ……!!」 「あら、私に見られたらいけないの?さきっぽだらっだらよ?喜んでるじゃないの。そんなことよりごはん……」 「ありますよ。冷やし中華。」 「冷やし中華……?あなた達寒くないの……?でもありがとう、それの尿道とアナルプラグのアタッチメントをお礼にあげるわ。新品のストックがあるのよ、待ってて!!」 「いらなぁいですよぉぉおおおお!!!!」 「若い子は遠慮しちゃだめよーーー!!!!」 清太郎は、何でもない態度はとりつつも、控えめに言っても地獄みたいな状況だと思った。 確かに鍵は締め忘れたのは自業自得だが、流石に母親が入ってきてちょっと言葉責めしてアダルトグッズのアタッチメントを取りに去っていくというのは、流石に今までも無かった。 冷やし中華はお盆に載せて追い出して、アタッチメントは有り難く使おうと心に決めた。 「咲様におもちゃ貰って嬉しい?」 「嬉しいです……けど尿道怖い……でも、でも、ちょっとお母様と考えると、複雑ですし……正しい捉え方がわかりません……」 コックリングを外してやると、春斗は多少冷静になったらしい。 「まあ、そうだろうね。俺もどうかと思うもん。ほら、ご飯の前に床綺麗にしないと……」 手枷も外して、床に顔を押し付ける。 定番というのは、いつだって心がときめく。 「興奮してまた汚しちゃいます……」 「いつも思うんだけど、舐めるって唾液で汚れるよね。このまま顔で拭くか?」 「あぁ、それも興奮する……でもどっちにしろ綺麗にはならないです……」 「まあ、良いじゃん、床舐めてるの見てると興奮するし。」 「セイ様も興奮するなら良いです……後で雑巾貸してくださいね……」 春斗は床に舌を這い回らせた。

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