37 / 51

雨降って地固まる

清太郎の春斗に対する扱いが少し変化した。 春斗が変態の集まる場に居るとき、清太郎は春斗が誰に何をされていても微笑ましく観察するだけだったが、近頃は他の人に遊ばれ無い様に誘導している。 それを察したBLOOMのスタッフ達は嬉々として清太郎の所有物として、春斗を扱った。 春斗の方も、どうやら独占されているらしいと気付いて、他の人とSMをして遊ぶ事は無くなった。 そして、春斗が清太郎の家に遊びに行く事も増えていた。 大した会話ではなく、日常的な会話をした。 普段着風仕事着を買う時は必ずお供する。 清太郎の家に泊まる時用のパジャマをお揃いで買ったり、かなり浮かれた生活を送っている。 寝る前にはココアを飲みたがるかわいい一面に興奮したり、例え具合が良かったとしても寝起きの悪さが悪魔級で、起こせと言われて起こしたらぶん殴られて、何故眠いのに起こすんだと涙目で訴えられて、あまりに可愛らしいドメスティックバイオレンスぶりに、ずっとこのまま振り回されていたいと思ったが、そうも言っていられないので、必死で起こし、暴れる清太郎を宥めながら顔を洗わせ、ご飯を食べさせ、歯を磨いて、着替えさせると、目が覚めたと宣いまるで何事も無かったように春斗を置き去りにして出掛けて行った。 春斗は呆然と、清太郎のパジャマを頭に被って自慰行為に耽って発散した。 夜型の清太郎が元気に帰宅すると、不在中の自慰行為を追求されて、酷い拷問をされる。 だが、何処となく清太郎が嬉しそうなのがかわいい。 無限地獄、もとい無限天国だ。 どうかしてしまいそうな程幸せだった。 この日々の中で、清太郎は本当にSMをしなかったら人間生活が破綻しかねないという事に気が付いた。 まっとうな仕事で金儲けをするのもSMの為で、習い事や趣味も殆どがSMに関わっている。 まっとうな仕事もSMの仕事も無い時の清太郎は、ソファの上でブランケットにくるまって、そこにいるだけだ。 剃るのが面倒という理由で永久脱毛している分、休日の清太郎は見目麗しい置物だ。 しかし、春斗の粗相でスイッチが音をたてんばかりに切り替わり、キングオブセイ様に豹変する。 掃除はロボット掃除機と拭き掃除機が走り回っている。 棚の上にモップをかけるのはロボット春斗の仕事になった。 料理は好きな様でいて、実際の所はあまり外に出たくないなりに美味しい物が食べたいと思った結果の自炊技術だった。 当然洗濯は乾燥まで全自動だ。 春斗には、作られた完璧な王子様と、その土台となるお姫様は、両方ともがあまりにも、あまりにも愛おしく映った。 親密さを増しながらも、清太郎を春斗が抱く事は未だになかった。 春斗は清太郎の為の燕尾服を仕上げ、自分の燕尾服も仕立てた。 お揃いだ。 あの日、春斗を見送った深月は、残された試行錯誤中の型紙を眺めて、春斗の分の型紙を作った。 考え得る限りの手本になる様なアイデアを詰め込み、注意点や、縫製方法のポイントを書き込んで、身内の下半身と情緒不安定の後始末をさせるように仕向けた罪滅ぼしとした。 翌日に春斗はその完璧な型紙を見て、のたうち回った。

ともだちにシェアしよう!