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第10話 披露される愛玩奴隷 5

ゼルギウスに促され入室したのは、人間に近い姿をした数人の妖魔達だった。 「一希様、ご紹介致しましょう。この方々はドールハウスの調教スタッフです。人間の貴方様を入所するのに尽力してくださった方々です」 はたからみたら美形揃いの集団だが、人間離れした美しさに一希は恐怖を抱いた。 「な、何をするんだ」 渇きが治らないまま、一希は座り込んだまま彼等から距離を取ろうと動いた。 彼等は自分をニヤニヤと見つめている。そのニヤつきに背筋に悪寒が走る。そこにヴィンセントが口を開いた。 「一希を鑑賞ルームへ連れて行け。このドールハウスを脱走しようとした仕置きだ」 「畏まりました、ヴィンセント王」 ドールハウスのスタッフは一希を押さえつけると着ていたガウンを脱がせ裸にした。 「や、やめろ!返せ!」 渇きに襲われてさほど抵抗できず、簡単に羽交い締めにされた。無理に立たされゼルギウスとヴィンセントに恥部を晒す格好になる。露わにされた身体を見てゼルギウスが言った。 「おやおや、一希様。乳首がプックリと勃っているではありませんか。それにペニスまで半勃ちで・・・押さえつけられて興奮しましたか?それとも王にお仕置きされることを想像しましたか?」 「ふ、ふざけるな・・・!俺をどうする気だ」 何をされるのか分からない。ヴィンセントが言っていた鑑賞ルームって何の事だ。 「ーー観衆プレイです」 「?」 聞いた事のない言葉に一希は一瞬分からないと表情に出した。しかしこの後ゼルギウスに告げられた言葉に一希は引いてしまう。 「一希様はあまり存じ上げませんか?多くの者に一希様の痴態を鑑賞して頂く性技の事です」 「ーーっ!?ま、まさかそれって・・・!」 それが何なのか。一希は察し、ガタガタと足が震える。数人のスタッフに羽交い締めにされているこの状況を考えると、想像したくないが多分、そうだろう。 「そうです。鑑賞ルームには貴方様を一目見ようとお客様がお待ちしております。なぜなら」 ゼルギウスが羽交い締めされた一希の耳元で囁いた。 「一希様の乳首やペニスを、ご痴態を余すことなく鑑賞する為です」 「い、嫌だ!!離せ!!」 スタッフ達が一希を連れて部屋を退室する。身の恐ろしさを感じた一希は渇きの苦しみを忘れて必死に脱出しようとするが、羽交い締めにされて逃げ出すことができない。 「やめろっ!嫌だ!離せ!!」 一希は叫びながら鑑賞ルームへ連れて行かれた。 一希の姿が見えなくなると、ゼルギウスはヴィンセントを見た。 「宜しかったのですか?観衆プレイは奴隷のお披露目ですよ。いくら淫魔王の番とはいえ、競売にかけられる可能性もありますが?」 「構わん。まずは披露目だ。これでドールハウスのオーナーは納得するだろう。既に一希は私の所有物だ。競売にかけたとしても首輪の鍵は私が握っている」 実は一希をドールハウスに収容する前、一度は商売の立場上、披露目と競売の参加を通達された。このドールハウスのオーナーは他種族の仲介も行う人物だ。一希をヴィンセントの番に迎えるのは淫魔族では決定事項だったので、愛玩奴隷として調教はするものの、披露目も競売もかけず愛玩奴隷になり次第淫魔城へ連れて行くことを伝えたが、それでは仲介を行う立場上、他種族からの反発を招き彼等に角が立たないと返答された。ヴィンセントもゼルギウスも交渉を続けたがオーナーは首を縦に振ってくれず、披露目のみの譲歩で今回一希の収容を許可した経緯がある。 「承知致しました。どうやら無駄な危惧でしたね。では、我々も一希様の痴態をとくと鑑賞することと致しましょう」 二人はゆっくりとドールハウスの廊下を歩いた。 部屋は大規模コンサート会場のステージのようで、観客席の中心にステージがある。中の観客席には多くの妖魔がひしめいていて、今一希はステージの中心にいる。スタッフにより両腕と両足を拘束されて、恥部を余す所なく観客席に晒している。 カタカタと一希は震えた。恐怖で体が震える、というのは退魔師になって経験したもののここまで自分が危険に晒される恐怖を感じたのは初めてだった。 「や、やめろ・・・」 こんなに多くの妖魔達が自分を見つめている。視線を嫌というほど感じしまう。何をされるのか怖くてたまらない。 「おぉ、あれが淫魔王の選んだ人間か」 「若い子だなぁ。肌も白くて触りがいがありそうだ。淫魔王に頼んで貸してくれるかな?」 「そうしたら私にも貸してくれ。聞くところによるとこの子は退魔師というではないか。退魔師の霊力がどれほど我が暗示に耐えられるか、実験してみたくなったよ」 ステージに飾られた一希を見て、観客の妖魔たちはそこかしこで話している。 皆、一希の痴態を鑑賞しに来た妖魔たちだ。人間が珍しいこともあるのか、普段の鑑賞会よりは盛り上がっている。 ステージの中心にスーツを着た一人の妖魔が現れた。耳にセッティングしたマイクで、観客に話しかける。 『それでは皆様。本日は淫魔王ヴィンセント様の番様である有坂一希様の調教にご観覧頂き誠に有難うございます。早速でありますが只今一希様はヴィンセント様の体液欠乏による渇きの症状が出ており、早くヴィンセント様を欲しいとおねだりしております。一希様のご痴態をとくとご鑑賞ください!』 なんつー恥ずかしいことをマイクで言ってくれてんだこの変態妖魔。絶対に退治してやる。 一希が司会の妖魔を睨んでいると、誘導され、ジェルの用意の指示が入る。スタッフ数名が大きい桶いっぱいに入ったタポン、タポンと規則正しい、しかし重そうな水音がするジェルを持って入場してきた。 スタッフは少しずつジェルを手掬いで取り出すと一希の身体にかけていく。 「うっ、んん・・・」 ジェルの冷たさに一希は身体に力を込める。が、すぐに多くの手が一希の身体をサワサワと撫で、ジェルでヌルヌルになった多くの手が一希の身体に這い回る。 「うっ・・・ひぃ!」 突然の刺激に短い悲鳴を上げた。身体が熱る。乳首を摘まれた途端、刺激に驚き秀一の腰がビクッとなった。中途半端に勃っていた一希のペニスがこの刺激で完全に勃起した。 「や、やめて・・・!」 スタッフに懇願するが、やめてくれない。それどころか彼らはさらに秀一の際どい部分を撫で回していく。 目を硬く閉じ、いやいやと首を動かすが手加減してはくれない。 それを観客の妖魔たちは食い入るように見ている。カタカタと恐怖で身体が震えながらも、一希の乳首やペニスは勃起している。おまけにヴィンセントの体液欠乏による症状の渇きが一希の身体全体を熱らせ、顔に赤みが差し潤んだ目で『やめて』と懇願している。 これに妖魔の数体はごくん、と生唾を呑んだ。 なんて扇情的な人間なのだろう。 ああ・・・折角金があるのに、競り落とせないなんて残念だ。 淫魔王はさすが目が肥えている。番というなら、あの人間を少しだけでも貸してはくれないだろうか。 ああ、私もあの人間の乳首やペニスを虐めてみたい。 いやいや、自分から誘ってはくれないだろうか。淫魔王に頼んで一夜限りのお遊びができないものか。 会場のそこかしこで観客の声が上がる。 近くで見ていたヴィンセントとゼルギウスは、観客の反応も見るなり、二人で話していた。 「おやおや、皆さんすっかり一希様の虜になってしまいまして。これが競売になっていたら相当な額が叩き出されていましたね。しかし、一希様は見られて感じていらっしゃいますねぇ。乳首もペニスも完全に育ってまして、早くご褒美がほしいでしょうに」 「まだだ。まだやるんだ」 「おやおや、手厳しい・・・」 ちらっと、ゼルギウスはヴィンセントを横目で見た。仕方なく受け入れたこのドールハウス観衆プレイだが、しかしこれはこれで功を奏したのかもしれないとゼルギウスは思った。 淫魔王に抱かれたせいもあると思ったが、目の前の人間の青年は自分たち妖魔を惹きつけていることを・・・自覚はしていないだろうが、一度淫魔王に抱かれただけで妖魔たちのサディストを燻られてほとんどの妖魔が一希に煽られている。この部屋全体が熱気で覆われている。自分の主は気づいているだろう。一希がドールハウスのスタッフたちに弄られて痴態を晒すところを余すことなく見ているのだから。 司会の妖魔はちらっとヴィンセントの様子を見ると、さらに会場を煽るように言った。 『皆様、ご注目ください。一希様はヴィンセント様の番に選ばれるという栄誉を投げ出し人間界へ逃げようとこのドールハウスを脱走しようとされたのです。そんな強情な悪い子には皆様ならばどうされましょうか?』 すると会場のあちらこちらから お仕置きだー! 徹底して焦らして快感を教え込むんだー! もっと焦らして自分から懇願させろー! と野次が集まってきた。中には よぉし!それならこの俺が直接調教してやる! ふざけるなそれは私がやる! と、一希のご主人様擬似体験を自ら名乗り出る者まで現れた。 これだけでも一希には充分恐怖を覚えた。渇きの辛さに加えて観衆プレイの恐怖と恥ずかしさが一希を支配する。 スタッフはジェルの次には電動バイブを持って入場した。ヴィン、ヴィンと高速回転するそれを見た一希は引き攣った。 スタッフたちは問答無用で一希の恥部全てにバイブを押し当てる。全ての箇所から一気に快感が身体中を走った。 「うわぁぁああ!!」 既に勃起していた一希のモノから一気に精液を排出した。はぁ、はぁ、と息を整える。しかしバイブは再び恥部全てに押し当てられ、一希の顔は唾液と涙でぐちゃぐちゃになっていた。 「ああ・・・」 恥部全てにバイブが押し当てられ、一希は身震いする。 苦しい。助けて。 でも、気持ちいい。なんでだろう。 苦しいのに、こんな恥ずかしい姿を晒しているのに・・・。 ヴィンセントの熱を、思い出してしまうなんて・・・。 咄嗟に一希はヴィンセントを探した。 もう苦しい。我慢できない。 「うぃ、ヴィンセント・・・」 一希は名を呼ぶ。 本当は嫌と言いたい。でも昨日のヴィンセントの、自分を求める姿を思い出してしまい、頭から離れない。 こんな時、一番呼びたくなかった名を呼ぶしかなかった。渇きの苦しさとバイブとジェルの指使いに刺激された身体は、昨日自分を抱いた淫魔からの快楽が欲しくて彼の姿を無意識に探していた。 これを見て、頃合いだろうとゼルギウスが言うとヴィンセントは席を立ち上がり、スタッフたちに命じた。 「ーー外せ」 ヴィンセントの声が会場に響く。一希の痴態を鑑賞していた妖魔たちも一斉に静かになった。指示に従いスタッフは一希の拘束を解いていく。 スタッフが一希の拘束を外している間、ヴィンセントもステージに上がる。首輪のみ付けられたまま解放された一希はヴィンセントを求めるように手を伸ばした。 「ヴィンセント・・・お願い、します。俺の、中に、ヴィンセントの・・・入れて・・・」 会場に沈黙が走る。 一希は、もう息も絶え絶えだった。散々弄られ燻られた渇きは、早くヴィンセントの熱を欲していた。 ヴィンセントの答えを待っている。するとヴィンセントはニヤッと口角を吊り上げた。 「合格だ、一希。さぁ、その渇きを癒やしてあげよう」 ヴィンセントはスーツのスラックスをくつろげると、一希の下半身をM字に開脚したまま、一希を後ろから抱き上げた。ちょうど、観客の妖魔たちに晒す格好で、一希はヴィンセントに後ろから抱えられている。 するとあのベルガモットの香りが一希の鼻腔をくすぐる。一希の痴態を見てヴィンセント自身も煽られたのだろう。そのまま己の猛ったモノをズブズブと一希の後孔に挿入する。 「ああぁ・・・、やあぁ、ああ!」 煽られてどうしようもなかったが求めた快楽に、一希は首を仰け反って嬌声を上げた。 慣らしてはいないが、渇きやスタッフたちに身体を弄られたことで後孔も自然に解されスムーズにヴィンセントを受け入れてしまう。これだけでも充分な刺激に一希は精液を吐き出してイッた。 「まだだ。一希。これくらいで気絶するんじゃないよ?」 挿入した一希の腰をがっつり掴んだヴィンセントは激しい抽出を繰り返す。 「あっ・・・、ああ・・・!あっ!」 観客たちは一希とヴィンセントの性行の美しさに感嘆の声を上げる。 淫魔と人間のセックスなど、多くの者たちが始めて見たであろう。 ヴィンセントに貫かれ、ひたすら快楽に応えるよう嬌声を上げる一希と、そんな一希に煽られ、徐々に抽出のスピードが上がり、時折顔を歪ませるヴィンセント。二人の快楽を屠る姿は観客だけでなく司会の妖魔やスタッフの妖魔も釘付けにしていた。鑑賞していたゼルギウスは観客もスタッフも全て視線が二人に向けられていることにクスッと笑った。 一方一希は恐怖と渇きと快感で、何がなんだか分からなくなっていた。でも徐々に快感が身体に占める割合が大きくなっていく。ヴィンセントに抱えられているとはいえ、後ろから貫かれ揺らされる感覚が一希をさらに快感に掻き立て、さらに喉元を仰け反らせて喘いだ。 「一希。君は、私の番だ。私の愛玩奴隷だ。人間界に勝手に行くなど私が許さない」 抽出が更に激しくなっていく。ヴィンセントは一希の身体をバックから対面在位に変えると、ジェルで濡らされた一希の乳首を吸っていく。 「あああ・・・!ああ・・・」 一希は再び嬌声を上げた。快感が強すぎる。これ以上は自分が壊れてしまう。でも欲しい。もっと欲しい。 「ヴィ・・・ヴィンセント・・・!」 無意識に一希はヴィンセントを呼ぶ。自分の中にあるヴィンセントのモノをキュッと締め付ける。 「いいね、一希・・・。そうだ、君も私を求めるんだ」 さらに抽出が激しさを増す。最奥にヴィンセントのモノが当たるとその弾みでヴィンセントの迸りが一希の中に排出し、逃がさないと言うように身体を仰け反る一希をヴィンセントは強く抱きしめる。 「ふっ、ふぅ、ふぅ・・・」 最奥に注がれたヴィンセントの精液に一希身体をガクガクと痙攣する。それにつられるように一希もヴィンセントの逞しい腹筋に精液を吐き出し、そのまま自失する。ジェルと涙と唾液、そしてヴィンセントの体液で濡れたまま自失した一希の姿はステージの大画面に映される。 妖魔たちが大歓声を上げる。愛玩奴隷として一希の披露目は大成功を収めたのだった。 続く

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