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第15話
「…俺のでそうなってくれたの?…嬉しい…」
「あんた…男初めてなんて…絶対ウソでしょ?」
「残念ながら本当なんだよね。とはいえこうなるのは君以外で想像もできないけど?」
「さっきこれから経験するって…」
「…そんなの…俺の残念な見栄に決まってるでしょ。君みたいな綺麗で可愛いくて男前な子そんなにいないんだし俺が勝手に君に夢中なだけだし」
「きゅーさんさぁ本当に相手いないわけ?」
「いないって。俺はできれば今後も君と仲良くしたいけど?」
「…もっかい…しよ?」
俺の言葉は無かったかのようにされてしまう。けれど彼がまだ求めてくれるならともう一度彼を味わうことにする
「顔見たいからこのまましてもいい?」
「あんたの…好きにして…ね?」
そのまま彼に覆いかぶさるようにして唇を奪う。舌を絡ませ合いながらまだ繋がったままだった俺を抜くことなくゆっくりと律動を始めた。
覚えたての快楽を獣みたいに貪るように互いに互いを求めた。それは樹優が俺だけの特別になったようで…本当に幸せな一時だった…
翌朝起きると隣には彼の綺麗な寝顔があって昨日のことが夢ではなかったのだと理解し幸せな気持ちになれた。きゅっと抱き締め彼の香りを目一杯体に入れる。
彼の香りを…体温を…表情を…忘れないように…これからのつまらない日々を…うまく過ごしていけるように…
「あぁ…無いわぁ…」
自分でも驚くらしくない涙を流し片手で涙を拭う
…夢の時間は刻一刻と終わりに近づいていっている…
この暖かで甘美なこの時間は彼の気紛れなのだ。
今日の相手はたまたま俺だっただけ…そう思うと胸が痛くて…
まだ眠る彼の額に口づけきゅっと抱きしめ直す
「好きだよ…樹優…今日で終わりたくないよ」
本音がポロリと溢れた…
「んん…」
彼はうっすら目を開けると俺の顔をそっと引き寄せてキスしてくれた
「起こしちゃった?」
「ん…きゅーさん…俺はやめたがいいよ…俺…きゅーさんが…思うような人間ではないから…見た目だけだからさ…」
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