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第17話

樹優side 顔も年もわからないただの痴漢男。けれどあの日からその手に触れられるのを待っていた。 束の間の幸せを得たくて… 己の欲望だけではない。俺のことを良くしようとしているように感じたあの手。何故か安心してしまう…本当に不思議な手だった 俺を大切にしてくれている気がしたのだ。 俺は毎晩のように違う男を抱き、抱かれている。俺も含め彼らは己の欲を満たすためのことしか考えていない。相手を道具としか思っていない。だから大切にするなんてこと俺にはわからない 俺が快楽に溺れ始めたのは高校時代だった。それまで必死で上を目指してトレーニングを続けただ只管に直向きに競技と向き合ってきた。それが俺の全てだった。 当然将来はその道に進むということを疑ったこともなかった。…あの日までは… 「樹優。大変だったなぁ。まさかあいつが…」 「寺崎は悪くないよ。周りがそうしてしまったんだ。」 俺は元は従兄弟の家から学校に通ってた。けれどそのせいで寺崎という学友にストーカーに遭ってしまったのだ。寺崎は執拗に俺を追いそしてとうとう俺に一緒に死んでくれとナイフを振り翳し襲いかかってきたのだ。間一髪彼を抑え込めて無傷ではあったのだが… 寺崎がそうなってしまったのには理由がある。 あいつは普段は全く目立たないやつなのだが実はとても綺麗な顔をしていてとても華奢でその辺の女よりずっとずっと女らしかった。俺の通う学校は男子校。そんな中に放り込まれた小さな白いウサギはギラギラと飢えた獣たちの恰好の獲物だったのだ。 毎日のように複数の生徒たちに無理矢理に犯されていた。そんな様子を知っている教師もあいつの虜になり…学内だけではない。一歩外に出れば外のやつに…それを見つけたらみんな一旦は止めるのだが結局そのお礼として体を差し出すように告げるのである。力の弱い寺崎は逃れようもなかった。 噂には聞いていたがその様子を目の当たりにしたことはなかった。 初めてそれに遭遇したときはただただ腹がたった。こんなに嫌がっているものを無理矢理に複数人で押さえつけて抉じ開けて…泣いても悲鳴を上げても誰も止めようとしない。むしろそれを楽しんでいるようにも見えて…どうしても放っておけなくて

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