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第19話
そういうのは特に気にはしていなかったがその頃から寺崎の俺への執着が強くなってきた。俺が他のやつと過ごしているとやってきてはヒステリックな声を上げられたりもした。
滅多に使えないスマホのメッセージや通話履歴は寺崎のものでほぼ埋まっていった。
あまりにもすごいので寺崎にそういうことはやめるように話もした。
「どうして!?僕は…こんなにも樹優を愛しているのに!!!」
「ごめん。寺崎。俺さ本当に今そういう余裕ないんだわ。お前のことは友人以上には思えない。ごめん」
そんな会話も何度したかわからない。
そんなある日のこと寺崎がナイフを持って家の前へ現れたのだ
寺崎はすぐに警察へ連れて行かれその後俺への接近禁止令が出された。
従兄弟の家にも俺への嫌がらせの手紙も届いていたのもあったので今後迷惑もかけられないし心配もさせたくないので俺はセキュリティがしっかりしている寮に入ることになった
それで今だ。何故かさっきまで普通に話していたはずの同室の男が俺の上に馬乗りになりながら会話を続けてた
「そういうことがなければあんなふうに俺に執着することもなかったと思うよ。周りがあいつを苦しめた。俺も含めて…ね。」
「…樹優…そういうとこだぞ?」
「だってそうだろ?」
「だから…漬け込まれるんだよ。なぁ樹優…」
「ん?」
「俺さ、彼女に振られて落ち込んでるんだわ。溜まるものも、溜まってすげー苦しい。だから…助けて」
「え?」
「樹優…抱かせて?」
「俺男だぞ?」
「お願い…樹優…」
「あ…おぉ…俺やり方わかんないんだけど…」
「俺が…教えるからさ」
昔から頼まれたら断れないようなバカだったのでお願いと言われればどんなことも頷いてしまう。
そもそも練習ばかりでそういうのに縁もなかったし興味もあまりなく自慰すらめったにしないような俺がそれに頷いたのはみんなが夢中になるその行為がどんなものか興味が湧いてしまったからだ。
寺崎を狂わせたそれがどういうものだったのか。
その日俺はそいつに初めてを奪われた。そいつは無駄にうまくてその快楽が忘れられなくなって何度かそいつに抱かれた。
俺の初めては後ろの方が先だ。前はその数日後に失った。
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