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第21話
ある日高校の同級生…俺の初めての相手が俺の店とは知らずに来店した。俺と関係を持ってから男に目覚めたそうだ
「樹優…」
「ごめんなさいねぇ。ここではそれで呼ばないでくれるぅ?」
「それ?店用なんだ?」
「そ。でどしたのぉ?」
その日はカウンターには誰もいなくてスタッフも休みだった。テーブルの方には数人いたけれどみんなそれぞれの世界で仲良くしていたから会話は聞こえないはずだ。
「お前さ従兄弟の家に住んでただろ?」
「そうね。」
「そこにさ小さい子いたじゃん?」
それは10年下の従兄弟の千雪のことだ。
「ん」
「俺も最近聞いたんだけど大変だったらしいよ。ここで話す内容ではないんだけど…仕事後は?」
「…わかったわぁ。終わったらまた連絡するわね」
俺の店は他のところと比べたら早めに閉めるので終わって会うことになった。
「よぉ。お疲れ様」
「あぁ。久しぶりだな。」
「そっちのが、やっぱお前っぽいわ」
「店やってんの知ってたん?」
「知ってはいたが誰もどこにあるんかは知らなかったわ。こっち出てきたやつも結構いるけどな。意外にわからないもんだな」
「人だらけだもんねぇ。で?千雪に何があった?」
「…その前に…久しぶりに…な?」
「わかったよ」
そのまま近くのラブホへ行き長い時間過ごしたあとゆっくりと話し始める
「あの後さ寺崎はすぐに出てきて学校辞めて引っ越したのは知ってるだろ?」
「あぁ」
「引越し先が隣町だったみたいでさ。寺崎はお前が寮に入って間もなくその家に向かった…で…千雪くんを連れ去って監禁してその…なんだ…お前の代わりにして…まぁ…その…性的暴行を…」
…まさか…そんなこと…幼い子供相手に?俺の代わりにした?意味がわからない…
「そんな!!そんなの知らないっ!!千雪はあのときまだ5歳だぞ?俺の代わりなんて…」
「…顔そっくりなんだろ?お前と」
「…」
千雪の父と俺の父は双子だ。近しい人しか見分けがつかないほどよく似ていた。
「俺たちは寮だったから外の情報はあまり入らないしニュースを見たことがあってもお前と千雪くんは名字が違うから誰も寺崎がしたことってこともお前と関係があったことも知らなかったんだ…」
千雪と俺の名字が違うのは千雪の父親が婿養子だからだ。
「父さんも母さんもおじさんもおばさんもそんなことは一言も…」
「お前に気にして欲しくなかったんだろ…」
「そんな…俺の…俺のせいで千雪が…」
「樹優……」
その後どうやって帰宅したのか正直覚えていない…俺が寺崎を助けなかったら千雪は…まだ幼い千雪の心は…
「何も…知らずに…俺は…遊んで…くそっ!!俺さえいなければ…寺崎も千雪も他の家族も傷付かなくて済んだのに…」
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