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第22話

馬鹿みたいにやることしか考えていなかった俺の存在…俺は… その日オーナーに連絡を入れた。これ以上は店を続けられないと思ったからだ。俺だけが傷ついた人を無視して欲望のまま生きていていいなんてことは決してないはずだ。 千雪と寺崎の人生を狂わせてしまった疫病神が出会いの場を提供するような立場ではないと思ったのだ。 「オーナー。俺…店をやめたいです」 「どうしてだい?」 そしてその話をオーナーに伝えた。するとオーナーが俺を支援した理由が明らかになった。 俺の体を気に入ったというのも、もちろんあるけれど他にも理由があったということ 「君に支援したのには君をとても気に入っていたというのが勿論一番なのだが…実はね君のご両親とおじさんとは昔からの知り合いでね。彼らに君を頼むとお願いされたんだ。君が里帰りをしたとき千雪くんに会えば君は聡いから何かしら察するだろ?そうすると君が大きく傷ついてしまう。それならばとなかなか里帰りが出来ないよう夜のお店をとお願いされたからなんだ。まぁその話を聞く前から私は君を支援するつもりだったがね。君の頭脳も人当たりもすべてを私は知っていたから君に任せれば間違いはないと確信していたから。だからね。樹優。彼らの思いを大切にするためにも君にはここを守ってもらいたいんだ…」 「でも…俺は…」 「君はきっとずっと自分を責め続けるだろう。けれど君は周りに好かれる人間で必要とされる人間なんだ。そのことは忘れないでほしい」 「けど…」 「苦しくなれば私を頼るといい。いくらでも温めるし側にいるから…」 そのままオーナーと体を繋げる。何もかも忘れさせてくれるオーナーの大きな心に体に身を委ねたのだ 「樹優…私はいつでも君の味方だ。だけどね、本当に大切な人。唯一の人を見つければ君はきっともっと輝けるはずだ。私はその日を望んでいる」 結局店は続けることにした。けれど快楽を覚えこんでいる俺の体は心とは裏腹に人の熱を欲しがる。人を愛する資格も愛される資格もないと理解してからは一層酷くなった。 自分を道具としか思えなくなった…俺を大切にしてくれていたオーナーを頼ることも出来なくなった。

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