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第23話

そんな時久しぶりに千雪に会う機会があった。 久しぶりにあった千雪は相変わらず可愛くて素直で… ずっと…笑っていた。 そう…ずっと…笑っていたのだ。 転んで怪我をしても大好きなお菓子をひっくり返してもおもちゃが壊れてしまっても…何があっても千雪は笑っていた。泣くことを忘れてしまった。千雪の可愛らしさはまさに人形…笑うことしかできない人形そのものだった 壊れてしまったのだ…感情というものが…親や俺の両親以外の大人はいい子だと沢山褒めた。聞き分けもよくいつも笑顔を絶やさない千雪を… 寺崎にどんな目に合わされたか…その壮絶さは本人じゃないとわからない。でも感情を忘れてしまったということは…想像を絶するほど酷い目にあったのだろう… それから更に数年たち千雪は都会へ出てきた。千雪もまた俺のように体だけのつながりを求めるようになっていた。あぁ…俺の存在があったから千雪までも… 「きー兄ちゃんお店してるんでしょ?ゲイバー」 「そうだよ。」 「ねぇねぇ…俺もお店行きたい!!」 「未成年が何いってんだよ」 「えぇ…じゃあいいや。頑張って大学で見つけるか…。結構いろんな子とやっちゃったから…んー…どうしようかなぁ」 千雪は今日も笑顔を絶やさない。笑ってる… 「…わかったよ。千雪。俺保護者だし特別ね。俺の許可した人としか寝ちゃだめ」 店の客でも癖のいいのと悪いのはいる。俺の知らないところで千雪がひどい目にあったとしたら耐えられない…俺の店なら俺が選んでやれる… 知らないところで見つけられるよりよっぽどいい… それから千雪はうちの店に通うようになった。 顔もよく人当たりもよく若い千雪はすぐに店の人気者になった。 けれど特定の相手は相変わらず作らず一人でやってきてはその日の相手を俺に選ばせその中から選び夜の街へ消えていくのだ。 一人でソフトドリンクを飲んでいるだけなのにとても絵になるし、夜の街がとても似合っていた。 俺は店では化粧を施し高いヒールを履いて女の格好をしているので俺たちが身内だということはおそらくそう簡単にはバレない 千雪も身バレしにくいよう気休めではあるが名字である弦野(つるの)の弦をとって(げん)ちゃんと呼んでいるし俺のことも穂積さんって呼ばせてる 千雪と夜を共にした人は必ず千雪の笑顔の虜になる。その後も何度も千雪と関係を持ちたがる。俺の目を盗み千雪と関係を持った輩の中には虜になった故、千雪を傷つけるものもいた。色んな所に痣を作ってきたことも一度や二度ではない。 それでも千雪は笑っていたのだ。自分が悪かったんだよ…と… まだ千雪の心は壊れたまま…それは今でも続いている… 千雪を壊した俺は人に愛される資格も愛する資格もない…ただ息をしているだけ…

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