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第28話

店での樹優は周りのことをしっかり見ていて発する言葉一つ一つが相手のことを思っているのがとても伝わってきて…やはり樹優は素敵な人なのだと改めて思わされることになった。 樹優は自分自身を否定するけれどそれは間違いだと思う。 樹優は毎日のように相手を変えていたと言うけれどきっとその一人一人その時には樹優が必要だったんだろう 大きな樹のように皆に手を伸ばして癒やす優しさ… 名は体を表すというけれどまさに樹優そのものだと思うのだ 「お兄さん」 随分と長いことぼんやり樹優を見詰めていると若い男が声をかけてきた。男に好かれそうな感じの人で背も高くガッチリとしたイケメンだった。その横にはその彼とお似合いの可愛らしい男…それは… 「あれ?さっきの…」 さっき話したばかりのあの彼だった 「さっきはありがとうございました」 二人揃って俺に頭を垂れる 「じゃあ…彼があの?」 「はい。これからは変なこと考えずに思いをちゃんと伝えていきます。本当にありがとうございました。目を覚まさせてくれた貴方にちゃんとお礼が言いたくて…」 「お礼?そんなことされるようなことはしていないよ…けど…とてもお似合いだね!」 そういうと二人は顔を見合わせて頬を染めた。初々しくて可愛らしい雰囲気だ。大人に可愛らしいはどうかとは思うがなんだか親心って言うのかな?そんな感じだった 少し話すと彼らはもう一度お辞儀をして店を後にした。 二人の姿が眩しくて羨ましくて目を細めた 樹優は彼らと俺を交互に見て優しく微笑んだ それから更に時間がたった。周りの客はそれぞれの相手を見つけたのか店を次から次へと後にして気づけば俺だけになっていた 「今日は店仕舞ね。着替えてくるわ」 そう言ってヒールを鳴らしバックヤードへ消えていった。 着替えて戻ってきた樹優。 「樹優。さっきの子勧めた理由は?何か考えがあったんだろ?」 「あぁ。うん。きゅーさんならちゃんとあの子に思いを告げてくれるでしょ?…俺しか見えてないって。 あの子は彼と長く交際していたの。二人は幼馴染らしくって。で長く一緒に居すぎた故にお互いが不安になっちゃったのね。ある日あの子がここへやってきたの。彼と一緒に。それで、その彼の目の前で他の人に口説かれたのね。彼はいつもなんでも許してくれる相手に嫉妬して欲しくてその人についてっちゃったの。 彼の事が好きすぎる相手は彼が望むならと何でも叶えてきたみたいだから止めることができなかったみたい。 彼は彼で止めてくれるだろうって期待してたのだけど…まぁ…結果…ね…彼の望みなら…と相手の子も臆病になってしまって… でもさ結局そのことで自信なくしてそのま勢いでま別れを切り出しちゃって…そこからここへ通うようになったわ。ふたりとも別々にね。でも相手が彼に未練たっぷりなのもいつも話していて知っていたから色々と相談に乗ってたの。振ったはいいけど凄く後悔したんだって。まだこんなに好きなのに嫉妬に駆られて意地を張ったって。 彼は彼でさ変なプライドみたいなものかな?相手がいるってわかっていてもいろんな男と…ね? だからさどうにかしてあげたかったの」 「…そういうことね。」 「ごめんね?利用してみたいになって」 「その分サービスしてくれる?」   「勿論。じゃあ帰ろ?」 今日は樹優の家に泊まることになっている。二人並んで歩き出した

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