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第31話
それから更に時は過ぎて…
「あれから一年かぁ…あっという間だったね」
俺たちの関係は変わることなくまだ続いている
それでも俺の気持ちは何も変わらず今もまだ樹優のことを…
樹優の気持ちは何も変わっていないがまだここにいさせてもらえることが本当に嬉しい
「なぁ。樹優」
「んー?」
胡座をかいた俺の太ももを枕にしながら本を読んでいる樹優の頭を撫でる。樹優は読書が好きだ。それも魅力の一つだと思う
「旅行いかね?」
そう言うと本を胸にふせて目を輝かせながらこちらを見た。本当に可愛い
「旅行?」
「うん。チケットを貰ったはいいが…ペアチケットでさ。樹優が忙しいのはわかるんだけど…一応聞いてみようかと…」
「どこぉ?」
「ここ。」
「すごい。高級旅館じゃん!旅行自体随分と行ってないなぁ。そもそも修学旅行以来行ってない。」
「どうする?」
「これ俺行かなかったら誰と行くの?」
「ん〜…残念だけど他に譲るか…そのまま放置…かな。樹優意外と行ってもつまらないし」
「…うん。行く」
そう言って体を起こし俺に寄り掛かりながらそっと頬に口付けてくれた
その後はその宿の近くの観光地を調べたり何をしたいのか話し合いながら一緒に計画を立てた。
その時間がとても楽しくてあっという間に時間が過ぎていった
数日前
「なぁ。新谷」
「ん?」
「あれから相手の子とはどうなの?」
「ん〜…相変わらずだよ」
実はこいつにだけは樹優とは恋人ではないこと。俺の片思いだということは伝えていた
「けど毎日会うんだろ?」
「そうだね。俺が出張している時以外はね」
「連絡も毎日取り合う…」
「連絡は欠かしたことないな」
仕事終わったとか業務的な連絡も入れれば毎日連絡を取り合うしだっちにせよ互いの家に毎日帰るので会わない日もない。
「それで付き合ってないとかどういうこと?理解が追いつかない…」
「まぁ形はどうであれ側にいられることが嬉しいからね。無理に関係を変えたいとも今は思ってないかな。確かに前はそうなりたくて必死だったけど形なんてどうでも良くなったんだよね」
「…ん〜…その相手って…お前に気があるんじゃない?」
「だと嬉しいけど。そんなんじゃないよ」
「お前にこれやる」
「え?」
「この間懸賞で当たったんだけどさ俺行けねぇんだわ。子供連れだし嫁も妊娠初期だから遠方に行くのが不安でさ。そのまま捨てるのも勿体ないし貰ってくれねぇ?」
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