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第35話

翌朝は早めに宿を出て教えてもらった場所を観光した。 ゆっくり時間を過ごす時間が最近はなかなかできなかったのでとても充実していた。 綺麗な空気を吸い込んで綺麗な景色を見てそして何よりも他の誰でもない樹優と一緒に過ごせて… この二人の関係の形が違えばまた違う景色に見えるのだろうか? 「きゅーさん!」 そのキラキラした笑顔が可愛くてそんなことはどうでも良くなるくらい俺まで笑顔になっていた。 道中樹優は色々な人に声をかけられてヤキモキしたけれどきっぱりと断ってくれたのも嬉しかったんだ 満喫して宿に戻ると目の前には見知った姿があった  「親父…」 「え?」 いつでもスーツをびしっと着こなしている父。隣には背の高い男の姿。あれは… ふと振り向いた二人は驚いた表情でこちらを見た。そして…涙目で走り寄るデカい影 「久にぃ〜〜〜!!!」 「うわっ!走ってくんな!抱きつくな。お前でかいんだから!」 「だって!最近帰ってきてくんないじゃん!!」 「悪かったって!一緒に過ごしたい人がいるんだ」 そう言って樹優の方を見ると樹優が何故かキラキラな笑顔で二人を見てた 「樹優?」 「この方は?」 「弟だよ。3つ下の」 「この人知ってる!」 「そうなの!?こんなに綺麗な人に知ってもらえているなんて光栄だなぁ」 デレデレと俺に抱きつきながら鼻の下を伸ばす弟に呆れる 「そのだらしない顔をやめろ。そんな目で見るな!」 「だって!久にぃずるい!!こんなきれいな人と旅行なんて!俺らはオッサン二人で仕事なんだからな!」 父の事業を継いだのは弟だ。元々俺よりそう言う才があって本人もそのつもりだったので何の問題も起きなかった。 「きゅーさんきゅーさん!この人!日本代表の人」 そうなのだ。弟は昔から何でもできた。中でも陸上競技は抜きん出ていて日本代表なったのだ。結果も残し割と有名だ。みんなに惜しまれつつ仕事に専念するため競技から引退した。 「美人さんお名前聞いてもいい?」 「…穂積です」 「穂積!?」 「うん」 「俺あんたの走りを見て陸上競技始めたんだ」 「…そんな…」 「お前が憧れの選手って」 「うん!!いつも話してたでしょ?だから辞めたって聞いたときは本当にショックで成績落ちて…けど辞める理由は何かあったはずだから俺が変わりにって頑張ったら運良く芽が出たんだ」 「おい。正則。久則たちはプライベートだぞ!邪魔するな」 何かを察した父が割って入ると弟は大人しくなった 「ごめんなさい…ベラベラと…」 やめた理由を知っている俺はその言葉をどれだけ樹優が気にするのかわかるのだ…父が入ってくれて正直ホッとした

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