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第36話

父は思ってもみなかったことを発する 「久しぶりだね。樹優くん」 「お久しぶりです。先日は突然失礼致しました」 会った素振りのある会話に俺は戸惑っていた。俺の様子を見た父は首を傾げ不思議そうに樹優に問う 「話していないのかい?」 「はい…まだ…」 「私から話しても?」 「…いえ。俺の言うべきことをまず伝えてから…ですから…良ければ夕飯は俺たちの泊まる部屋でご一緒して頂く訳には行かないでしょうか?」 「私は構わないよ。正則はどうだい?」 「いいよ。聞きたいし」 「夕飯の時間はおまかせします」 「では…20時頃でどうだろうか?」 「はい。お待ちしております」 その場に居合わせた女将にすぐそのことをお願いすると快く了承してくれた。 話とはなんだろう? 「ではまた後で。楽しめよ」 そう言うとポンポンと俺の肩を叩いて立ち去っていった 部屋に戻ると妙に緊張してしまった。父は俺のすることにこれまで反対したことはない。 樹優は俺ではなく親父に何かを話した…それが…何なのか…付き纏うのをやめて欲しい…とかでは無いだろうか…気持ちが無いのに俺に付き纏われて迷惑だという話でもしたのだろうか… モヤモヤしていると樹優が抱きついてきた。 「取り敢えず一緒に風呂入ろう」 呆然としていた俺の手を引いて服を脱がせてくれる。俺はされるがまま何も発せないでいた されるがまま相変わらず放心してて… 「おーい!きゅーさん!そろそろ戻ってきて!ごめんって!勝手にお父さんに会いに行って。弟さんは初めて見たんだけどさ」 「…」 「ねぇってば」 「…」 樹優は俺を引き寄せて深いキスをする。官能的な舌使いに次第に意識が高まってくる 「ごめん…」 「え?何が?きゅーさん謝るようなことなにもないよ?」 「でも…」 「なぁんで急に落ち込んでるのさ」 「俺…しつこ過ぎたかな?」 「は?」 「俺に直接話しても付き纏うのをやめないから…嫌な思いさせてた?ごめん」 「ちょ!何でそうなるの!!」 「だって…父はそういうのを解決するの得意だし…」 悪い予感だけが沸々と広がっていって落ち込んでいく 「…そういうとこもあるんだね。常にプラス思考だと思ってた。気にしないかと…」 「女々しくて…ごめん…」 自分でも鬱陶しいのは理解してるけれど滅多にそうはならないので浮上の仕方がわからない…

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