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第39話
「そしたらさやっぱり欲が出てきちゃう…ずっと一緒にいたいと思っちゃう…一年…だよ。それを止めたいって思ったことだって正直あるのにでもやっぱり離れたくない自分が勝ってしまう。もう…俺は我慢できないから…これ…受け取ってください」
受け取って中を出してみるとそこには小さな箱があって…
蓋を開けるとシルバーのシンプルなリングが収まっていた。
「これって…」
「うん…重いかなって…思ったんだけど…これとお揃い」
気になってた…これまで何もつけていなかったはずの樹優の胸元に光るリングのこと…
「…つけてくれる?」
樹優にお願いするとそっと俺の手を取って左の薬指に嵌めてくれた。そのリングにそっと口付ける樹優の姿にまたも込み上げてきた
「また泣いちゃうの?今日泣き過ぎ」
「…嬉しいことがこんなに一気に来ることなんてないから…樹優…ありがとう…」
「サイズもピッタリだった!よかった」
「何で…わかった?」
「ん?手を繋いだときの感覚?俺のサイズと比べたらこれかなぁ?って感じかな…って…俺たち恋人ではなかったのに良く手を繋いで歩いてたね…セックスのときもさ…」
「…そうだな」
「俺やっぱきゅーさんの手…好きだな」
「俺も好きだよ。いつも暖かくてしなやかで…凄く心地よくてさ」
そうしてこれまでのことを語っていたら約束の時間ぴったりに父たちがやってきた
「おう。この部屋こんななってんのか…やっぱなんか落ち着かねぇな」
「俺もぉ…そわそわする!」
「何かさ…意外だよね」
「そうか?」
「だってあの大企業の代表がさ。あんなにソワソワしてる」
「すげー…ここ何部屋あんの?絶対にこんなにいらないって!」
それは俺も思ってた。俺たちは結局その一室しか使わないしなんか勿体ないなぁって思って。でも滅多にないことだから無駄にうろうろはしてみても結局一室に落ち着くのだ
食事は勿論申し分ない。すべての料理を終えて4人で酒を酌み交わす
俺たちの出会いについてはあまり話せないけど俺たちのことは父も弟も喜んでくれた。
そうしてしばらくして…
「あ。わすれてた。はい!久にぃ!まさかこんなとこで会えると思わなかったからここの近くのお店で買ったものだけどプレゼント!ちゃんとしたのはまたあげるね」
そう言ってくれたのは焼き物だった。
「これって…」
「うん!夫婦茶碗。樹優さんと一緒に使ってよ」
「ありがとう」
「で?いつ入籍するの?いつから同棲するの?」
「げほっ…ゴホッ…おまっ…気が早いって」
「えぇ!?善は急げだよ!ほら!これこの近くの役所でもらってきたよ!」
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