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第7話 お仕置きの時間
唇を落とすだけじゃ飽き足らず、体のあちこちを舐められて噛まれる。
普段は痕が残らないようにしてくれてたんだと、気がついた。
このまま食べてくれたらいいのにと思う。
そしたら、永喜の中に俺が溶けて混ざって、ずっと一緒にいられるのかな。
でもホントに食べられたら消化されてなくなっちゃって、そこで終わっちゃって、次がなくなる。
そこでお終いになる。
それは、やだ。
「かず、ローションとらせて」
そう言って俺から体を離した永喜を手で追う。
指を絡めるように手を握る。
ぎゅうっと握ったその手に頬ずりをした。
「なんでそんなかわいいことしてんの」
「行かないで」
「煽ってる?」
「ここにいて……」
いつもより高く感じる体温が愛おしい。
永喜の指のまたに舌を這わす。
飴を食べる勢いで舐め回した。
溶けてしまえばいい。
そしたら残すことなく全部飲み込むから。
「どこに行くの」
耳元で永喜がささやく。
「俺が、万葉をおいてどこに行くっての?」
「…ない……けど、ここにいて」
「行けるわけないだろ」
バカだなあと、永喜が俺の耳を食んだ。
バカだよ。
俺はバカなんだ。
ここまでしてもらわないと、ちゃんとわかんないくらい、バカなんだよ。
だから抱いて。
ちゃんと、俺に永喜の印をつけて。
見えるところだけじゃなくて、見えにくいところも隠されたところも、体の奥の奥まで。
余すことなく全部。
何を口走ったのかわからない。
もういっぱいいっぱいで覚えてない。
多分、一回は永喜の手の中で出した。
そのあとは自分でもわからないくらいに、永喜が俺を支配している。
繋がる場所はローションでぬらされて、永喜の指を咥え込んでいたはずだ。
「万葉…」
永喜の声がしたあとで、奥が急にぽかりと寂しくなった。
俺はころりとあお向けにされたから、重い腕をあげて永喜を探す。
脚の間に体を進めてくれた永喜は、俺が首に腕を回して縋り付くと同時に、熱源を差し込んできた。
「あ…あっ…あ、や、あ……ああ……」
ぐちゅりと永喜が入ってきた分、縁からローションがあふれて音が鳴る。
ぐっぐっと押されて、体ごとずり上がるのを、永喜の腰に足を回して抵抗した。
もっと。
もっと近くがいいんだ。
ゆがんだ視界の中で、永喜の口元が弧を描くのがわかる。
「かわいいこと、すんなって、言ってんのに、さ」
「ひゃ、あ…っ」
ぐいっと押し込まれて、永喜の下生えが肌に触れた。
「あ……あ、えーき……えーき、えーき」
キスして。
そう言いたいのにうまく言えないから、舌をのばしてねだる。
永喜が俺の手を離して、後頭部を支えてくれるから、空いた手で精一杯抱きついた。
ぢゅ。くちゅ。じゅる。
唇がふれあって離れて舌が絡んだ。
「かわいいな、お前。ホントかわいい」
キスに忙しい上の口も、受け入れてきゅうきゅうしている下の口も、出したくてぱくぱくしているだろう小さな穴も。
全部がとろとろのどろどろで、永喜を待っている。
「かず…好き。万葉が好き、ちゃんと好き」
「…ん……うん、ああ…き……す、き…えーき」
眼鏡があってもなくても、好きだと言ってくれた。
信じてよって、俺が理解するまで、自分を押さえて待っていてくれた。
お仕置きとお願いのセックスは、熱くて長くて嬉しくて。
忘れられない時間になった。
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