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第17話

「お前って、どんだけ俺に甘いんだよ……」  妊娠の喜びが、今になって湧き上がってきたようだ。思わず涙ぐむ蘭を、陽介は優しく抱き寄せた。しかし蘭は、そっと彼の体を押し戻した。一語一語、噛みしめるように告げる。 「いや、それはダメだ。俺は、子供たちに嘘はつきたくない。……正直に話すよ。それから、謝る。この前は叱りすぎて悪かった、ってな」 「ああ。どちらでも、君に任せるよ」  陽介は、気軽に頷いた。 「でも潔い選択だな。それでこそ蘭だ」  ふふ、と蘭は笑った。 「よーし、そうとなったら、忙しいぞ! ただでさえ、二組の結婚式があるってのにな。俺まで出産なんだから。陽介、お前、今度こそ手伝えよな」  蘭は、陽介をじろりとにらみつけた。明希の時は、陽介はショックで寝込んでしまい、蘭が式の全てを取り仕切ったのだ。 「ああ、わかってるから」 「頼むぞ? あー、もう、いっそ二組合同でやってくれりゃ楽なんだけど……、って、そんなわけにはいかないよな」  蘭は、顔をしかめた。すると陽介は、妙なことを言い出すではないか。 「いや、面白いかもしれないぞ? 二組とは言わず、三組合同はどうだ?」 「は? 何だよ、三組目って? もしかして、明希の式をもう一度やるってか?」  蘭は、きょとんとした。陽介が、眉をつり上げる。 「馬鹿を言うな。何であんな辛い思いを、二度もしないといけないんだ。あの苦しみに比べれば、首相選の方がずっとましだ」 「――じゃあ、三組目って一体、どこにいるんだよ?」

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