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第18話

 陽介が、蘭の目をじっと見つめる。そして微笑んだ。 「ここにいるじゃないか」 (え……?) 「蘭。俺たち、式を挙げないか?」  蘭は、絶句した。結婚当時は、陽介の母親が反対していたこともあり、挙式は何となく見送る方向になったのだ。蘭自身も、潜入目的の結婚だったため、その方がいいと判断したのだが……。 (もしかして陽介は、結婚式を挙げたかった……?) 「そうだ。俺は、君の花嫁姿を見たいと、ずっと思っていた」  蘭の心を読んだかのように、陽介が言う。蘭は、顔が熱くなるのがわかった。 「花嫁姿って……。今さら、この年でかよ……」 「君は、いくつになっても綺麗だと言ったろう」  陽介が、蘭の手を取る。彼が手の甲にそっと口づけるのを、蘭はぼんやりと眺めていた。 「どうだ?」 「……悪くないかもな」  思わず、そんな台詞が口をついて出た。陽介が、驚いたように目を見張る。 「本当か? いや、ダメ元で言ってみたんだが……」  ああ、と蘭は頷いた。そっと陽介の手から逃れると、逆に彼の手を握り返し、自分の方に引き寄せる。意を決して、耳元でささやいた。 「だって、運命の番の願いなら、叶えてやらなくちゃな」  ※ちなみに白柳望大の独立計画は、思いがけず頓挫することになる。彼の愛しい新妻が、『是非お義母さんからいろいろ学びたいから、同居したい』と言い張ったためだ。望大は、二人きりのラブラブ新婚生活の夢破れると同時に、今後尻に敷かれる予感を少なからず抱いたのであった。                                       了  作者より:需要あるかわかりませんが、いずれ望大×夏生のエピソードを後に続けたいので、完結にはしないでおきます♪

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