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第25話 さわらないで ※注意
「いっ、こほっ。」
俺の意識が戻ってくる。
甘い匂いがしている。俺の欲しい匂いじゃないのに、この匂いがすると、身体が勝手に熱くなる。
誰かが俺に何かを飲ませている。
俺はそれをやめさせたくて、手で何かを退けようと押し返すけど、びくともしない。
口の中が一杯になり、それを飲み込まざるを得ない。
ゴクッと俺の喉がなる。
「い、…、ゃら。こほっ。」
俺はそれでも抵抗を止められず、手で何かを押し返そうとする。
お湯が揺れる。お風呂に入ってるのか?
「ふ、可愛いねぇ。」
誰かの声と息が耳元ですると、ぶわりと不快感が高まり、身をよじる。
俺が目を開けると、茶髪パーマのおじさんが、その彫りの深い目鼻立ちを、面白い玩具を目の前にしたような、好奇心旺盛な眼差しで俺を見ている。おじさんは服を着ているけれど、俺は裸だ!俺だけバスタブに入れられている。
「!、ゃっ。」
俺の両手首がおじさんに捕まり、頭の上で固定されてしまった。もう1つの手が俺の顎を押さえていて、顔も動かせない。俺が湯に沈まないのがその手のお陰だとか思いたくないっ。
そのまま口を塞がれ、口の中に舌が入ってくる。俺の口の中をまさぐり、俺の舌を舐めてくる。
「い、ゃっ。」
俺のセカンドキスが!。金髪ロン毛男の次は茶髪パーマ、しかもまた男とか勘弁してくれっ。
俺の心とは裏腹に俺の身体は更に熱くなり、おへその奥や下半身に熱がたまる。
たまらず、俺は下半身を反転させて、身体の固定をはずそうとする。
お湯が大きく揺れて、顔にもかかった。
何でだよ、嫌だと思っているのに、何で俺の身体は熱くなるんだ。金髪ロン毛男の言ったように、俺は淫乱なのだろうか?。
「ははは、元気だねぇ。」
その、余裕の声に無性に腹が立ち、自由な下半身を左右に揺らし、ますます暴れてやる。
お湯が波立ちパシャンパシャンとこぼれる。
お湯が大波になって顔にかかるから、おじさんも俺の口を塞ぐことができなくなったようだ。ざまぁみろだ。
すると、おじさんが背中と足に腕を入れて、俺を湯船から引き上げた。
ザバンとバスタブの湯が暴れる音がし、俺は落とされる恐怖から、とっさにおじさんの首にしがみつく。
肌が密着する不快感から、ぶわっと鳥肌が立つ。
「ほう、抱き上げられるのは慣れているんだねぇ。
可愛い顔して、いろいろと経験豊富なのかな?。
なら、おぢさんと少し遊ぼうか?。」
おじさんは、熱を帯びた声で俺の耳にささやくと、俺を椅子に横たえた。
「ひ。」
このおじさん怖い。俺はふるふると首を横に振るけれど、おじさんは俺に覆い被さってきた。
「いっ!、いっ、ゃ、いっ、ゃ!、ごほっ、ごほっ。」
おじさんは、俺の鎖骨を舐めながら、俺の大事なあそこを掴んできた。
「いっ、ゃっ、い、ごほっ。ごほっ。」
サルの時のことが頭をよぎって、身体が震える。その反面、おへその奥がキュッとなり、俺は動けなくなってしまった。
それを良いことに、おじさんの遠慮のない手は俺の急所を揉みあげようと上下に動かしてくる。
この野郎と、腹が立ち、俺は椅子から落ちる勢いで上半身を揺らして、抵抗する。
「ふふふ、頑張るねぇ。これではどうだい?」
「あっ、あっ、あぅ。」
おじさんはあろうことか、俺の乳首に噛みついて引っ張ったり舌で押し潰したりする。
お、男のぺっちゃんこの、そ、そんなところいじっても、楽しくないだろう??。
「おやおや、まだまだ未開発なのかな?。
よーし、これではどうかな?。」
「☆※&#☆☆ミ☆彡!」
俺が見てしまった衝撃をどう表せば良いのか。
おじさん…
いや、もう、変態おじさんだ!が、俺のあそこを口に入れ、俺のおなかをまさぐっている。
俺の勃起したあれを、変態おじさんの濡れた舌が舐める。
舌の感触と不快感が、俺の裏すじから尾てい骨を駆け抜け脊椎を直撃する。
変態おじさんは躊躇うことなく、俺の尿道の出口にも舌を入れてくる。
「!」
止めろと言いたいのに声は出ないけどそんなの関係ない。
俺は、渾身の力で茶髪パーマを掴み、腰を引く。
「いたたたた。本当に元気だね。痛いから離してくれないかい?。」
変態おじさんはさほど痛くなさそうだか、俺のおなかから手を引いたので、俺も手を離し、足を曲げて大事なところを守りつつ、急いで変態おじさんから距離をとろうとして、椅子から転げ落ちてしまった。
「ははは、その怒った黒い瞳も良いねえ。」
「はぁっ、はぁっ、はっ、ごほ、ごほっ。」
俺は、完全に息が上がって、酸欠で視界がチカチカとして、また意識を失くしそうだ。
甘ったるいこの匂いが不快だ。
俺の勃起してしまった大事なところも、痛いくらいに不快だ。
これ以上ここにいると、また吐く自信がある。
変態おじさんがこれ以上俺に触れたら、俺は舌を噛みきって死んでやる。
俺は決心して、舌を歯に挟み、右手で左手首の柔らかいところに爪を立て、いつでも自決できるように身構える。そして、気を失わないように、歯と右手に力を込め、痛みで意識を繋ぎ止めた。
「おやおや、ダメだよ、自分を傷つけちゃ。
おぢさんが悪かった。
もう君に無断で君の身体を触らないから、安心して。今はね。」
変態おじさんはそう言うと、俺にウインクをする。
誰が、そんな話を信用するものか。こんな、へ、変態なことをするおじさんの話なんてっ。俺は騙されない!。
って、思うけど、意識を保っていられなくて、苦しくて、自分でしていることだけど、舌と手首が痛くて、大事なところも痛くて、情けなくて涙が出てきた。
「ほらほら、もうなにもしないから、自分を傷つけるのはおよし。ほら、皮膚が破けて、血がにじんでるよ。
君が勃起しているのも、君のせいじゃないさ。この匂いのせいだからね。
君は私の「気」に誘発されて発情をしているだけだからね。神子が番候補の気の匂いにあてられて発情するのは、極々普通のことだからね。」
「うー、うー、…。」
変態おじさんの話を信用して良いのかも判断ができない。
俺は気を失いたくなくて、泣きながら耐える。
変態おじさんはそんな俺の様子を、困ったなと言うように、口に手を当てて見ている。
「グルルルル、ウォーン!。」
獣の唸り声と足音が近づいてきた。
銀様?
俺はその姿を確認する前に、いよいよ視界が暗くなり、なにも考えられなくなってしまった。
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