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第45話 新たなる目標

「まず手始めに南の国の砂の宮のお爺様を訪ねると良いわ。  あの方は賢者でもあるし、海里に合ったスキルを教えてくれると思うの。この世界はあなたの知っているゲームの世界みたいな面もあれば、現実だから、死ぬこともあるし神も女神も万能ではないわ。  ましてや、災厄の神子は、番候補者の気にあてられると、発情してしまうし、番契約をしないなら、自分の身は自分で守らなきゃね。」 「俺、こんな体質になっちゃっても、この世界で生きていけるかな?。」 「ふふっ、体質って、面白いこと言うわね。  そうね、神子として顕現してしまったからには、もう、開きなおるしかないんじゃないかしら。  この世界の獣人たちは、恋愛がとても自由なの。性別も伴侶の数も恋愛観も様々で自由奔放なの。でもね、自分が愛している人のことはそれはそれは大切にするのよ。何人愛するかは別として、ね。」  そこでじとっと坂又さんを睨む母さんと萎縮する坂又さん。これはやはり坂又さんの自業自得なのかなぁ。 「ここの世界の人達も、心があって、みんな生きているのよ。海里が海里らしく接すれば、みんながあなたの人となりをちゃんと理解して、あなたの味方になってくれるわ。」  母さん…。 「その証拠に、あなたはもう既に三人の王子が味方になってくれて、助けてもらっているじゃない。自信をもちなさいな。」 「うん。母さん、ありがとう。」  母さんの微笑みが俺の背中を押してくれる。 「旅の途中で、冒険者ギルドに寄ると良いわ。冒険者に登録すると、なにかと困ったときに助けてくれるわよ。あそこは国や種族に関係ない組織だから、国の圧力からも、縛られることはないわ。」 「おーっ、ギルドがあるんだ。憧れちゃうなぁ。是非寄ってみるっ。」 「ふふっ。あなた、昔から冒険好きだものね。」  なんか、わくわくしてきちゃったなぁ。 「せっかくだもの、この世界を、あなたにも好きになってもらいたいと心から思うの。」  そう言って微笑む母さんは、俺が見惚れてしまうくらい美しい女神様だった。 「おれも魔法が使えるのかな?。」 「もちろよ。母さんの子どもだもの。」 「わ、私と櫻子さんの子ですから。海里くんのポテンシャルは相当なものだと思いますよ。」  突然、坂又さんが座卓越しに身を乗り出してきた。 「海里くん。知らなかったこととは言え、実の息子の君に、危害を加えるような真似をしてしまい、本当にすみませんでした。  君と櫻子さんを守ると決めていたのに、櫻子さんが死んでしまうと思い込んでいたから、どうにも心が抑えられなかった。心の弱い父親をどうか許してください。」  坂又さんはそう言うと、俺に向かって深々と頭を下げた。 「坂又さん、頭をあげてください。気にしていませんから大丈夫ですよ。」 「海里くん…。本当にすまなかった。」  俺がそう言うと、坂又さんは目に涙を浮かべながら、頭をあげた。 「でも、母さんのことは大切にしてくださいね。浮気とか、繰り返すなら、俺も離婚を母さんに勧めますよ。」 「ぐっ。」  喉をつまらせる坂又さん。  この様子では黒なのだろうか。思わずじとっと目を見つめてしまう。  不意に視界が大きな暖かいもので覆われてしまった。 「桜の宮様。我々はそろそろ席をはずそうと思う。これからの旅の準備も進めたい。  海里も疲れていると思う。  私のこの姿は、いつまで許可をいただけるのでしょうか?。」  どうやら俺は、レオの手で目隠しをされているようだった。 「そうね、海里の部屋で休むと良いわ。  その姿は1日分ってところかしら。あまり長くいると、死の呪いが進行してしまうかもしれないから、ご免なさいね。」 「いや、構いません。一晩だけでもありがたいです。」 「簡単な夜食を用意しておくから、おなかが空いたら食べると良いわ。  私たちもしばらく家を留守にするから、お留守番よろしくね。」  お、俺の目はいつまで塞がれているのだろうか。落ち着かないぞっ。 「それから、海里の気持ちが優先ですからね。そこはきちんと、を示しなさいね。」  か、母さん、大人の対応って…。  俺は大人ですが?、え?。

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