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第3話

「あ……、っあ、あ」  堅く熱をはらんだ部分を根本から大きく擦りあげると、熟した果実のような先端からとめどないほど先走りが溢れた。西岡が絡ませた唾液と共に、茂みを伝って尻のあわいまで濡らすほどに。 「ゆっくりと息を吐けよ」  しとどに潤んだそこを開いていけば、野原の吐息に苦しげな色が混じる。男を知らないそこは、初めての侵入者に頑なさを崩さない。けれども西岡は容赦しなかった。 「もう少しだから……、我慢して」 「う……ぁ、ああ」  枕を抱き締めて耐える野原の背中を何度も舌でさすり、指先で内壁をあやす。なだめてくすぐって蕾がようやく綻んだところで、西岡は昂りで入口をノックした。そしてゆっくりと体重をかけていく。 「あっ、や、あ、ぅう」  見上げる野原の目元が濡れている。 「痛いよな。ごめんな。なじんでから動くからチカラ抜けな」  かぶりを振った野原の額に口づけを落として、西岡はゆっくりと腰を動かした。 「あ、ぅう、ん」  野原に負担がかからぬように、感じるところだけを探りながら慎重に穿っていけば、なかは次第に熱を増して、西岡の動きに合わせるようにうねり出す。 「ひ、あっあ、ん」 「野原さん、だいじょぶ?」  荒い息でこくこく頷きながら見上げる瞳に手のひらをかぶせた。 「目は閉じてて。あいつに抱かれてると思えよ」 「や、です」 「遠慮しなくていいよ」 「に、西岡さんは彼を抱いてるつもりなんですか? そんなの嫌です。僕を抱いてください。僕は西岡さんに抱かれたい」  首もとにぶら下がるように手を伸ばした野原に、例えようのない愛しさが込み上げてきた。なんだよそれ、反則的殺し文句じゃね? 「あ、あぁあ」  野原の喘ぎが蜂蜜を混ぜたように甘く濃厚になっていくのを耳に、西岡は抜き挿しのスピードを上げた。 「は、ぁあ、にしおか、さんっ」  最奥を叩くように何度も抽送を繰返し、腹の間で震えていた野原が弾けた瞬間、西岡も欲望を解き放った。  高い高い山頂から墜落するような浮遊感と、この世の悦楽をすべてかき集めてまとったような高揚感。  数時間前には思いもしなかった充足の中で、ふたりはトロリと眠りの沼に沈んでいった。

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