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第5話

 * 「先にシャワーしてくれば?」  バーから程近い場所のビジネスホテルにチェックイン。 部屋に入ってベッドサイドのテーブルランプだけ点けて、ネクタイを緩めたところで、後ろから華奢な腕が抱きついてきた。 「いいから、早く抱いて」 (おいおい、積極的だな)  振り向きざまに雪斗の腰に腕を絡ませ、軽い体を抱き上げて、下から掬うように唇を塞ぎ、咥内に舌を挿し入れた。 「……っん」  さっき飲んでたカクテルのせいなのか、雪斗の舌がやけに甘く感じる。  そのままベッドに沈めた体の上に覆い被さり、もっと深いキスを仕掛けていく。  だけど、咥内で雪斗の舌は、俺にされるがままで、あまり動こうとはしない。 (あれ? 慣れてると思ったんだけど……) 「なあ、男とやるの初めてって事、ないよな?」 「まさか」  雪斗は艶然と微笑むと、俺の肩を押して体をくるりと反転させて、情欲の滲む瞳で見下ろしてくる。 「初めてなわけないじゃない」 「……なら、いいけ……っ」  言葉を最後まで言い終わらないうちに、噛み付くようなキスを仕掛けられた。  侵入してきた甘い舌が、俺の咥内で絡んでくる。  だけどやっぱり、ぎこちない。 (こいつ、キス下手くそなのか?)  まぁ、そんなことは別に気にしないけど。  俺は反動をつけて体を反転させて、もう一度雪斗を組み敷いた。    切れ長の目尻に口づけて、耳殻を舌で撫でる。  俺のシャツを掴む雪斗の指先に、ぎゅっと力が入るのを感じた。 「……っ、ん」  だけど、どうも声を我慢しているらしい。 「もっと声出せよ」  言いながら、雪斗の薄手のパーカーを肌蹴させ、Tシャツをたくし上げていく。  薄明かりの下で、白い肌が艶めかしく浮かび上がる。  薄い色素の胸の頂に舌を這わせれば、雪斗は声を押し殺しながら身体をしならせた。

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