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第4話 手錠
正夜の手が俺の体をベッドの上に完全に上げようと持ち上げ、正夜の片手が俺の履いていた両足のシューズをシュルリシュルリとあっという間に器用に脱がせ、靴下と一緒にぽいぽいとそこらの床に放り投げる。
2M程先の硬質の床には俺の履いていた靴が横向きになって、履いていた俺の方を向かずに点在していた。
飛んでいった靴を、呆気に取られながら眺めている内に、ベルトがかちなり合う音がすぐ側から耳に飛び込んで来たので、反射的におい、やめろよと俺は暴れた。
「なに…う…やってんだよぅ!またぁ!!……外せよコレっ!!オイ」
手錠とベッドパイプ同士の金属的な擦過音を思い切り立てながら、俺は必死に腕を動かした。
「外せって!!馬鹿!!」
「体変わっちゃったんだろ?それなら変えた僕しか治せる奴はいないんじゃないの?」
正夜は外したベルトの間から下着に手を入れ、俺のちんちんを握った。
力を強く握りしめた。
「う!!痛っ!!」
急所を掴まれて体が静かになったのをいいことに、手の位置を改めて直して、なだらかな手つきでしごき、こすり出した。
「ぅ……はぁっ……はぁっ……っう……うっ………うっ………う」
手つきは気持ち良かったけど、もう何が何だか分からなくて、さっきの涙の再開とばかりに俺はまたワッと泣き出した。腰がよじれる。
「泣いていいよ。泣きながらイけばいいよ……」
「うッ」
何故泣かせている人間に泣いていいよなんて言われているんだ。
何故泣かせている人間にちんこを揉まれているんだ。
意味不明さに、俺の涙は更に溢れ出す勢いが増流した。
気付くとぬちゃぬちゃとした粘液的な音が動かされている奴の手の間からし、俺は自分が先走りを垂らしているのを思い知った。手錠により腕が動かせない。
ますます嗚咽が酷くなった。
「ウッぅウッ!!ウウウゥゥッ」
すでに正夜の掌の内側には、気持ちと反して硬くなり過ぎた自分のちんこがあった。
手の速度が増し、俺はうめく。
「ぁあ!うくっ……ぐっうぅ!!あ!アッ」
「思いっきり、ぶちまけてしまいな、朔」
正夜が、命じるように上から降らせた言葉通りに、本当にぶちまけるくらいの量を、長い時間ちんちんを震わせながら放ってしまった。
放心しているといきなり尻の肉をぐいと指で割る感覚が来た。
擦られている間にそういえばジーパンが剥ぎ取られてしまっている。
「取りに行くのがメンドーだから、今日はこのまま何も塗らずに入れちゃうけどいいね?」
無意味な確認の言葉を残酷に投げる。振り返ると奴が下を脱ぎ出している。
「ちょっと……まて……」
俺の瞳はきっと奴を見て震えていた筈だ。
「まあ二回目だから……こないだあんなに穴開けといたんだから……入るよ」
声色とは違う凶暴な容赦無い力で、俺の中に押し当て強引に入ってきた。
「…………カッ………は…………………」
痛過ぎて声も一瞬止まった。
こないだあんだけ入ったのにまだこんなに体がはじける程痛いんだ。
それでも正夜の力は強引に強く、俺の様子に合わせたりなんか絶対しないで、そのままズブズブと情け容赦なく奥まで送ろうとしていく。
「ハァーッ!…ハァーッ!……痛いぃっ………!!……う…わぁ………!………」
「力抜いて。力抜かないと君が痛いよ」
痛いのにこわばる体から力を抜けと。
もう俺はわんわん泣き出した。
「もうわかんねぇっ!俺に何がしたいんだ!お前に何かしたのかっ!……痛めつけたいのかぁっ!なんでだぁっ!」
俺は手のひらで顔も覆えずに一切憚らずに泣く。尻が痛い。
「なんで……なんでだぁ…………」
なんで意味不明な年下の男にちんちんを再度突っ込まれているのか全然意味がわからない。
流石に泣き過ぎている俺の様子にたじろいだのか、正夜が慰めるような声色に変わり言葉を落とす。
その目は困ったように泳ぎを見せた。
「……そりゃあ……あれだよ、あれ。えっと、その……なんだ…………、そーそーそーっ!朔が好きだからだよ。好きだから、こんな風にしているんだよ僕は」
取ってつけたような薄っぺらい声音で理由を話してくる。
まるで考えながら話してるかのように目を左に右にと動かしながら。
鼻声で俺は叫ぶ。
「はぁ?好きって……お前と俺いつどこで会ったんだよ!?」
「え?えーと、そうだな………電車の中?」
「俺徒歩通いなんだけどっ!!本当かぁ……っ!??」
「あー、じゃあじゃあ!通学路だ、通学路!!たまたま朔を見かけてそれから好きになったんだよ、うん」
「何が好きなんだよっ!」
小休止しながら顎に手を当てどこか宙を見ながら答える。
「…………制服姿?」
「何で最後がいちいち疑問形なんだよっ!!本当かぁぁっ!?」
「…………本当だって。ずっと好きだったんだって。だからいいでしょうこうしても。納得した?」
そう言って自らの肌を全部載せて俺に被さってきた。
絶対にいいことはないし、理由も何だか胡散臭いが、その言葉を機に、正夜がさっきまでの乱暴に俺の内部に入れようとするだけだった動作をやめて、俺の頬のナイアガラのように流る涙をペロペロと舐めてきた。
「ホラ、イけたじゃん。不能になったわけじゃなかったんだよ。僕でしか、イケなくなっただけ」
正夜はそう言ってまた手で柔らかく俺のちんちんの先端と裏側をこすり出す。
変な声が漏れそうになり途端に意識が後ろから前へと逸れた。
「だから、イきたいなら、僕相手にセックスしてればいいんだよ、これから」
「うぅっ!うぅっ!!…アッん!ァ……」
尻の間は動かされて異物感が果てしなく迫るのに、前は気持ちよく擦られて変な気持ちだ。
正夜は大分動きやすくなったらしい。
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