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第6話 怒涛なる放置プレイ

眠気の底からいつの間にか俺の意識は漂いつつ、浮上してきていた。 体には何かが覆っている感触が上に乗っかっていた。 毛布……や、それよりも、軽いけど厚みのある、布団…………。 ベッドの上掛けが掛けられているんだろう。 突然掛けられている上掛けが、ズルッとどこかへ引っ張られていった。 直の肌が全身寒気に触れた。 「…………えっ!……さむ……い!何っ…………!?」 目を開けて思わず目の前の光景を確かめると、俺はまだ腕が縛られている状態の全身裸のままで、隣には、白い布団にくるまって顔も出さない誰かが寝ていた。 俺にかけられていた分を奪い去ったようだ。なんて言う寝相の悪さだ。 「お……おい!返せよ!寒いよ!俺、ハダカだよっ!?風邪、引いちゃうよっ!?」 呼びかけても無反応のまま何も起きやしない。 冬になり始めている季節だ。 暖房器具の一切停止したこの倉庫の中は、かなり冷え冷えと寒いじゃないか。 噛みつこうにも絶妙に距離が離れているし、唯一自由になる足で蹴るしかない。 「起きろよっ!起きろっ……!寒いんだ……よ!!……」 正夜らしき物体は、蹴ると更にまた寝返りを打って、キングサイズ分くらいはあるベッドの上を、俺から更に遠くに離れていった。 「ふざけんなよ……!ふざけんなよっ……!」 あらん限りの力で暫くベッドをガタガタ揺らしていると正夜が起きた。 寝ぼけた半眼で、俺にバサっと布団を頭から雑にかけると、どっかに行ってしまって、しばらくすると戻ってきた。 「ぶあっ!……この!野郎…………」 「……あぁ……何時だ今……、16時か……」 独り言のように呟くと急にシャキシャキ動き出した。 「……ごめーん、僕ちょっと出てくるわ」 「あぁ!?」 俺の反応なんか意にもかけず、閉まった扉の奥に一旦消え、たと思ったらまたすぐに戻ってきた。 手に箱を持って。 「足貸してー朔ー」 俺の裸の足を開かせる。 「……おいっ……あぐっ!!!!」 大きい黒い冷えた物がいきなり差し込まれる。 精子の乾いたそこに特別濡らされもせずまた。 「入んなっ!いって!」 無理に押し込もうとはしてるけどため息ついて、箱から同じくローションを取り出して、異物の上からかけ始めた。 「これで……入るだろ……」 「ンギーッ!!ウウ!!」 滑らかになったからと言って力任せに奥まで押し込まれた。 思ってたけど俺への扱いが雑だよ!!こいつ!! 「帰ったら昨日と同じように思い切り可愛がってやるから、それまで時間かけて緩めてたほーがいいだろ」 「ハァー?とっ、トイレは………?」 「マットレスに防水カバー張ってるからしちゃえば」 「ッふざけんなよーッ!!」 「んじゃ、行ってくるから、留守番よろしくね」 喋りながらも男は歩き回り慌ただしく素早く着替えてまわり、ソファに投げられっ放しのジャケットを取り掴んでいた。 リモコンを操作し、部屋の室温操作をして、入ってきたのと同じように出て行ってしまった。こんな状態の俺を一人にしたまま。 あいつは最低最悪のろくでなしの、糞っタレ野郎だ!! ◇◇◼️◇◇ 正夜の上着のポケットには、丁度ポケットに収まる位のサイズのミニパソコンが入っている。 モニターを開けば今さっき出て来たばかりの家の随所の映像だって見れる。 勿論、切り替えれば、ベッドに置かれている朔の様子だって鮮明に映る。 朔は頬を染め、足の間の性具に顔を歪めている様子だ。足をもぞもぞさせ、取り出したがっている。どう動いても客観的には扇情的な動きだ。 それはさておき、画面をすぐに切り替えてしまって、タクシーに乗りながら、正夜はとある用途のウィンドゥを開き、熱心に、羅列される数値の波を見ていた。 正夜の預金通帳には高校一年生らしからぬ桁が並んでおり、いくつもの0が末尾を埋めていた。 彼は地下銀行にも表に浮かばない資産をいくつもプールしてあった。 一之宮 正夜は16歳にして一体何をして、どうやって、それだけの金額を日夜産み出し、集めているのか? 兎にも角にも、彼の周りには毎日大金が流動していたし、日夜、彼の手元には様々な情報が集まってきていた。

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