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クリスマス番外編⑤

「皓太も遊びたかったら、今日は遊んでてもいいんだよ」 「いや……、いいよ、俺は」 「そう?」 「うん」  率先して騒ぎたいわけではないけれど、早く終わらせてしまいたいという態度を表に出すほど野暮ではないつもりだ。  この一年を導いてくれた先輩たちを送り出すことを寂しく思う気持ちは、皓太の中にもある。成瀬のとなりに座って、手付かずだった箱のひとつを取る。  成瀬には、先ほどまで輪の中心にいたはずなのに、次に見たときは姿を消している、というようなところがあった。  はじめのころは、なぜなのだろうと不思議だったのだが、この人なりの処世術なんだろうなぁと思うようになった。  目立つ人ではあるけれど、性格的に大騒ぎが好きだというタイプでもないし、集団行動が好きなタイプでもないのだろう。  望まれるから先頭に立つだけであって、本来であれば、こうして一歩引いたところからみんなを見ていたいのだろうなぁ、と。  そして、そういうときは、だいたいあの人が近くにいるのだ。  ――まぁ、でも、今夜は目立たないところにいてくれて助かったけど。  あんな大騒ぎの集団の中にいられたら、釘を刺すこともできなかったにちがいない。できてないでいるあいだに「そういえばさぁ」なんて話されていたら、もう本当に羞恥心で死ぬしかないところだった。  手元に落ちた影に、顔を上げる。立っていたのは向原だった。 「あれ、向原。もうあっちはいいの?」 「うるさすぎる」  そう応じた向原の視線がツリーのほうに向く。嫌そうな声に、苦笑がもれてしまった。わからなくはない。

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