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第5話 強奪 Ⅲ

体を打ったと思ったのに想像していた様な痛みが無い あれ⁇と思って目を開けると、ミハイルの顔が目の前にあって 緑色の瞳に吸い込まれるかと思った 「…藤さん 大丈夫ですか⁇」 ミハイルの一言で ハッとなった 抱きかかえられている事に気が付き、カーッと体温が上がっていく 「だ 大丈夫だから、離せよ!!」 俺の言葉とは反対に、ギュッとその腕に力が込められた 「おい ミハイル!!」 微妙に苦しくて身じろぐも ビクともしない   「…藤さん 俺じゃダメですか⁇」 「は⁇ 何が⁇」 意味が解らない上に 腕が解ける気配も無い 足もミハイルの身体が乗っているせいで、蹴り上げる事すら出来なかった 「…青葉さんじゃなくて 俺にして下さい」 予想外の言葉に 思考が止まった コイツ…何で知ってんの⁇ 誰にも言っていないし、自分でもこの気持ちは封印しているつもりなのに 「な なに…言って…」 上手く誤魔化したいのに 言葉が上手く出てこない 同時に 嫌な汗が俺の背中を伝っていく 「俺 いつも藤さんの事見てるんで、ハッキリ言って バレバレです…」 …嘘だろ⁇ どうしよう どうしよう 他の奴にもバレているんだろうかとか、まさか青葉や恵斗に気付かれてるんじゃ…とか 俺の頭の中から ミハイルが無くなった時、唇に妙な感触がして 視線を元に戻すと、さっきよりも近い距離にミハイルの顔があるのに、キスされているんだって事を 暫く理解出来なかった

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