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第12話 帰路
俺がボーッとしてる間に ミハイルは後処理なんかを全部やっていて、俺は着替えまでさせられていた
「藤さん、送って行きます」
本当は断りたかった
でも体が痛くて動けなくて、仕方なく俺はミハイルにおぶられて帰った
「ねぇ、藤さん」
呼び掛けに応える気力も無い
ミハイルは何事もなかったかの様にいつも通りで 腹立たしさよりも、コイツにとってはその程度の事なのかと思うと 何故か哀しかった
「次の発情期はいつですか⁇」
「…え⁇」
思わず もたれかかっていた体を起こした
ミハイルは振り返ると、いつもの様に無邪気な笑顔を向けてきた
「俺、発情期の藤さん 見たいな」
「…な」
何言ってんだよ そんなの見せれるわけない…
「や、嫌だ!!」
俺が首を左右に振ると、ミハイルは俺を持つ手に力を込めた
「別に良いですけど…
じゃあ、青葉さん達に言っても良いんですか⁇」
その言葉にグッと息を飲んだ
青葉達には絶対にバレたくない
そう思った俺の表情を読み取ったのか、ミハイルは緑色の瞳でジッと見つめてきたかと思うと ニコッとまた笑った
「で、いつですか⁇」
「………」
俺は力無くまたミハイルの背中に自分の体を預けると、その耳元で ボソリと一言呟いた
「楽しみだなぁ♡」
ウキウキしながら歩いて行くミハイルとは反対に俺の気持ちはどんどん沈んでいった
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