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第14話 呼出 Ⅱ

「藤さん!!」 「…なんだよ」 テンション高めのミハイルとは反対に、俺は俯きがちに返事を返した 「一緒にご飯食べたいなぁって思って」 「…は⁇」 「だって こうでもしないと藤さん、一日中青葉さんと一緒じゃないですか…狡いです」 「狡いって…そんなの同じクラスなんだから、しょうがないだろ⁇」 「だって俺は同じクラスになれないのに…」 「当たり前だろ⁇ 俺とお前は学年違うんだから…」 俺がそう言っても不貞腐れているミハイルは 耳と尻尾がしゅんとなった犬の様で、俺は小さく溜息を吐くと 仕方なくミハイルの隣に座った 「いったっだっきまーす」 俺が隣に座った事で機嫌を良くしたのか、ミハイルはまた楽しそうな声で手を合わせた それにしたって、何で俺は 昨日あんな事してきた奴と一緒に飯を食ってんだ… 「藤さん 藤さん」 ミハイルに呼ばれて チラッと見上げると、俺の口元に購買で買ったであろうパンを差し出してきた それは俺がよく食べている物で、数日前に部室でも食べていた時に好きだと話していたパンだった 「これ 藤さん好きなんですよね⁇」 「…まあ」 「あ〜んして下さい」 コイツ… 体さえ痛くなかったら 蹴り飛ばしてるな… でも目の前に差し出されたパンはやっぱり美味そうで、素直にパクッと口に納めた 「う…お、美味しいですか⁇」 ミハイルは顔を赤くした上に微妙に挙動不審で、昨日のあの威圧的な態度は何処に行ったんだと思った 「…うん」 「良かったぁ」 「…わざわざ買って来たのかよ⁇」 「はい!! 藤さんに喜んで欲しくて!!」 「…あっそ」 少し嬉しいと思ってしまった自分に 心の中で喝を入れた だって購買のパン1つで絆されるとか、ちょろ過ぎだろ俺… 何となく悔しくて、ニコニコした顔を俺に向けるミハイルの額にデコピンを入れてやった 「痛った!! 何すんですか!?」 「お前 昨日出来て無かったコード、弾ける様になったんだろうな」 「う!! いや…えっと」 「お前…今日の個人練習、引く程やらせるから覚悟しとけよ⁇」 そう言って紙パックのジュースを飲んでいると、いきなり後ろから抱き締められ 流石にビクッと体が震えて、手に持っていたジュースを落としてしまった 「…な…に…⁇」 「藤さん、今日も練習付き合ってくれるんだなって思ったら嬉しくて…」 思わず言ってしまった自分の言葉を思い出して、カッと顔が熱くなるのが分かった 「あれ⁇ 藤さん、耳真っ赤ですよ⁇」 ゲッ!!と思った瞬間、ミハイルにカプッと甘噛みされて力が抜けていく 「ひゃ!! や、やめろ!!」 「藤さん…俺、デザート食べたいです」 ピチャピチャと音を立てながら耳を舐められて、身体が熱くなってくる ミハイルに顎を掴まれて グイッと後ろを向かされ、そのまま口の中に舌が差し込まれた 「…う…ん…あ…」 俺は 全ての初めてを昨日コイツに奪われて 比べる相手なんていないからよく分からないけど、ミハイルにキスされると 頭がボーッとして何も考えられなくなっていく どれ位そうしていたのか、チュッと音を立てて 口が離れると ミハイルは目を細めて笑った 「御馳走様でした」 コレを言われて、え⁇終わり⁇と思った自分を本気でぶん殴ってやりたい 「藤さん⁇」 キョトンとした顔のミハイルに 一人だけ意識していた事が恥ずかしくなって、俺はふいっと顔を横に反らした 「藤さん、今日もよろしくお願いしまーす」 「…うっせ 殴るぞ」 「バイオレンス!!」

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