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第20話 宿泊

「藤さん、どうぞ 遠慮せずに上がって下さい」 遠慮とかじゃなくて 普通に帰りたい… そう思った俺の口から 自然と溜息が漏れた 「藤さんご飯食べます⁇ それとも風呂入ります⁇」 「…腹減ったわ」 「了解です!!  マーマが色々作ってくれてあるんで、今温めますね」 ミハイルが椅子をスッと引いたので 俺はそこに腰かけた カウンターキッチンの方にバタバタと向かって行くミハイルを横目で見た後、反対側のリビングに目を向けた 予想通りというか 俺の家とは全然違う ミハイルの家は 所謂洋風な部屋で、暖炉の形に似た白い枠縁の上に 綺麗な写真立てが沢山並んでいた 単純に興味があって近付いて見ると、その中に写る絵画の様な女の人に 思わず見惚れてしまった 「…お前のお母さん 美人だな」 「え⁇ ああ お人形さんみたいでしょ⁇」 「…うん」 ミハイルと同じ綺麗な緑色の瞳に吸い込まれてしまいそうだった お前、お母さん似なんだなって言おうとして止めた なんか悔しかったから 「藤さん 出来ましたよ」 「ん」 向かい合って座ると、今見た中にいた幼いミハイルと 今のコイツを無意識に比べてしまい 、ジーッと見つめてしまっていた 「…俺の顔に何か付いてます⁇」 ミハイルが俯きながら照れているのを見て、珍しいもんを見たなと思った いつもなら 俺の顔そんなに好きですか⁇とか鬱陶しい事を言ってくるのに 「お前、子供の時 めちゃくちゃ可愛いな」 そう俺が言うと、カーッとミハイルの顔が赤くなり 不満そうに唇を尖らせている 「今も可愛いですぅ」 「そのデカイ図体で 可愛いは無いだろ」 「じゃあ 藤さんは可愛いんですね⁇」 「…俺 帰るわ」 「嘘です!! ゴメンなさい!!」 こんな会話をしながら食べるコイツん家での飯は 俺の想像より美味くて そんで… 楽しかった

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