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第14話

ベッドに寝転んでいるとあっという間に七時になって侑生が起こしに来た。 微睡んでいたところを抱きしめられ、顔中にキスをされる。鬱陶しくて侑生の顔を押し退けるとその手を舐められ、思い切り頬を叩いてやった。 「痛っ!」 「普通に起こせ」 「洸ちゃん、起きて」 そのセリフが先だろ、と思いながら侑生に腕を引かれ体を起こす。 くわっと欠伸をすると、つられて彼も欠伸をしたものだから、思わず笑ってしまう。 「今日はあと少しで家出るね。洸ちゃんは家に居てね」 「まあ、何も無ければ」 「うん。今日の夜には就職先の話できると思うからいい子で待っててね」 「ん」 ベッドから降りてリビングに行く。 そこにはもう既に美味しそうな匂いをさせたフレンチトーストがあって、歯を磨いて顔は洗わずに席に着いた。 「いただきます」 「召し上がれ」 フワフワなそれにフォークを刺し、ナイフで一口サイズに切って口に入れる。 蕩けるような甘さに自然と口角が上がった。 「美味しい。侑生、天才」 「やったー!何点?」 「百点満点!」 「わーい!」 ケラケラ笑い、完食して食器を片づける。 侑生は出かける準備をしていて、ビシッとキマったスーツを着ていた。 「何時頃に帰ってくる予定?」 「んー、夕方には帰るよ。もう少し早いかもしれないけど。」 時計を着ける侑生に軽くもたれ掛かる。 着け終わると、彼の腕が腰に回されて、額にチュッと唇が触れる。 「なるべく早く帰るからね」 「待ってる」 「うん。行ってきますのキスしていい?」 「おかえりなさいのキスをさせてくれるなら」 彼はフフン、と笑い俺の後頭部に手を回して唇同士を軽く触れ合わせると、それを段々深いものにした。 「んっ、ふ……っ」 「んー、可愛い。おかえりなさいのキス、楽しみだなぁ。」 「……俺をソファーに運んでから出かけて」 「はーい」 侑生のせいで足がガクガクだ。 抱っこされてソファーに運ばれる。 「じゃあ、行ってくるね。」 「行ってらっしゃい」 そこから手を振る。 玄関の閉まる音を聞いた。

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