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第30話
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最近侑生は仕事が忙しいらしくて、いつもの大体決まった時間に帰ってくることはなく、早朝だったり夜だったり、まだ太陽も昇っていない真夜中だったり……そんな不規則な生活を送っている。
家で食事をすることもほとんど無く、夜の営みもすっかりご無沙汰。
そんな生活のおかげで、ついに侑生は体調を崩した。
午前三時。眠っていると異様に暑くなってそれから咳き込む音が聞こえ目が覚めた。
隣で眠る侑生が寒そうにしているのを見て飛び起き、水や毛布を用意する。
「侑生、侑生……大丈夫?」
「んー……大丈夫。ごめん洸ちゃん。水欲しい」
「うん。持ってきたよ。起き上がれる?」
「ん」
体を起こす侑生を支え、ベッドベッドを背もたれに座ると彼はゴホゴホと咳をして、落ち着いた頃に水を渡せば勢いよくそれを飲んだ。
「今日も仕事?」
「うん」
「休めないの?」
「そうだね。」
侑生は苦笑して熱い息を吐く。
時計を見た彼はあともう少しで家を出ないといけないらしく、そのままベッドから降りて体を伸ばしている。
「……最近忙しそうなのって……もしかして、何か危ないことが起こりそう……?」
「うん。洸ちゃんは心配せずに家に居てくれたらいいからね。」
「……侑生は怪我したりしない?」
「それはわからないけど……。まあ、多分大丈夫。」
侑生はググッとまた伸びをして、脱力した途端にフラ付き棚に手をついて「わ……」と一人驚いていた。
慌てて手を伸ばしたけれど、間に合わなかった俺は出番のなかった手を引っ込める。
「無理はすんなよ」
「うん。それより、起こしてごめんね。」
「そんなのは気にしなくていいよ。それより心配だから、いつも通り時間がある時は連絡してくれ。」
「わかったよ」
「薬飲む?解熱剤ならあったと思うけど……」
「うん。貰っとく」
顔を洗いに行くという彼と一緒に寝室を出て、薬を入れている箱から解熱剤を出す。
少しでもこれでマシになってくれたらいいんだけど。
戻ってきた侑生は辛そうにしていて、慌ててソファーに座らせて、食べれると言った果物のゼリーを渡した。
チビチビそれを食べた後、薬と水を渡す。
「ありがとう。服着替えたら行くよ」
「……わかった。でも、本当に無理はしないで。」
「うん。」
侑生は辛いはずなのにニコリ笑って、着替えを済ませるとまるで体調なんて悪くありませんという風に堂々とした佇まいをして家を出て行った。
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