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第46話

侑生の休みはあっという間に終わった。 俺はそう思っているけれど、本人は「長いこと休んだから体が鈍ってそう」と朝早くからリビングでストレッチをして、準備が済むとそそくさ家を出て行った。 休み明けの仕事は心身共に疲れる筈。 帰ってきた侑生に好物を用意しておこうと思って、彼が出かけた直後からスマートフォンでレシピを検索した。 スーパーが開く時間になったら足りない食材を買いに行こうと、俺も出かける準備をする。 「行くか」 時間になって家を出る。 暇だから、甘いお菓子を作るのもいい。 侑生は好きじゃないかもしれないけれど、俺が作ったと言えば食べるかもしれない。 そんなことを考えながら歩いているとあっという間にスーパーについてメモしていた食材と調味料、それからその場で検索して、簡単そうだったスコーンを作るためにホットケーキミックスとチョコレートを買った。 「……作れるか……?」 ホットケーキミックスを見ながら、一人で作れるのだろうかと不安になるけれど、やってみないことには成功しないので意を決してレジに行き会計を済ませた。 帰り道、手に袋を持ってフラフラ歩きながら、天気も良くて気分が良かったので気がつけば花歌を歌っていた。 フンフン、即興ソングを歌っているとカシャと写真を撮る小さな音が聞こえた気がして咄嗟に足を止め振り返る。 「……」 ジーッと当たりを見渡すけれど怪しい人物は見当たらなくて、気のせいか。と家の方に足を向けた。 気のせいかもしれないけれど、侑生には伝えておいた方がいいだろうな。 何かがあってからでは侑生に掛ける心配や迷惑が増えてしまう。 早速帰ったら連絡を取ろう。 とりあえずメッセージを送って……。でもなんて送ろうかな。詳しくは帰ってきたから話せばいいから、とりあえず写真撮られたかもしれないってことだけ……? そんなことを悩んでいる間に家に着いた。 手洗いうがいをしてすぐ、また侑生に送るメッセージの文章を考える。 結局カメラで撮られたような気がした……だけで十分伝わるだろうと思い、たったその一文を送ってスマートフォンを持ちながらソファーに寝転がる。 途端、手に持つそれがうるさく音を立てた。

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