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第48話

■■■ 話を終えたのに、侑生は厳しい表情のまま黙っている。 「侑生?」 「……連絡を待つしかないな。」 溜息を吐いた彼に、俺も同じように深く息を吐いて脱力する。 もう話は終えたんだから、大人しく座っていなくてもいいだろうと侑生にもたれ掛かり、顔を上げて彼の首に腕を回した。 「ん、洸ちゃん、甘えたモードなの?」 「いや、そういうわけじゃないんだけど……」 「なあに?言って。」 ちゅ、と頬にキスをされる。 少し考えてから侑生に擦り寄って口を開けた。 「なんか、自分の家なのに、重たい空気で緊張しなきゃいけないの、嫌だなぁって。」 「ああ……ごめんね。」 背中に手が回される。 彼の職業柄、怪しいことに対して厳重に警戒するのは仕方のないことだ。だから侑生が謝ることでもない。 トクトク、聞こえてくる彼の鼓動が眠気を誘ってきた。 「洸ちゃん、眠い?」 「ううん」 体を離してググッと伸びをする。 寂しそうな、少し悲しそうな、そんな顔をする彼ににっこり笑いかけると、同じように口角を上げてくれた。 この話はもう終わりだな。と思って時計を見る。 あ、と思って、またすぐ彼の方に顔を向けた。 「お前、仕事は?」 「今日はもうここにいるよ。すぐに何かを仕掛けてくることはないだろうけど、もしかしたら家もバレてるかもしれないから一緒に居る。」 「……なんか、やっと復職できたのに……。タイミングが悪いというか、なんというか……。」 「まあ、仕方ない。誰も待ってくれないから。弱ってるところを突こうとする奴はいくらでもいるよ。」 「……そっか。」 侑生と生活をできる人って、本当に俺くらいなんじゃないだろうか。 こんな頻繁に何かしらの事件に巻き込まれるだなんて、常人じゃ耐えられないと思う。 「侑生の恋人って、俺しか出来ないと思うんだけど、侑生はどう思う?」 「え、俺の恋人は生涯洸ちゃんだけですが。他の誰かとか考えたことないや。」 「やっぱり?でも俺の恋人は誰にでも出来るよな。俺、特別な事情とかもないし?」 「いや、無理でしょ。俺しかいないでしょ。だって洸ちゃん実は面倒臭がりで料理もそんなにしないし、したとしても片付け最後までできないじゃん。洗濯物も洗濯機回すだけでそのままだし。人には厳しいけど自分には甘いところあるし。」 「……喧嘩売られてる?」 「ううん。そんな洸ちゃんの苦手な部分を怒る人は沢山いると思うけど、俺ならそんな洸ちゃんを怒るどころか可愛いなって甘やかします。」 「やっぱり喧嘩売られてる気がする!!」 言いながら飛びかかると、侑生はケラケラ笑って「ごめーん!」と気持ちのこもっていない謝罪をしてきた。 でも侑生の言ったことには一切間違いではないので、確かに俺の恋人も侑生にしか務まらないなと再確認した。

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