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第62話
百ちゃんとは思っていたよりも短時間で打ち解けた。
いい子だ!と確信してぺちゃくちゃ好きなことを話しているとあっという間にお昼になって、人と会話をする楽しさを改めて感じて感動した。
「百ちゃん、ご飯は?」
「洸さんの分と一緒に持ってきてくれます。」
「そうなんだ。一緒に食べれるの嬉しいな。」
「侑生さんも戻ってきたらいいんだけどなぁ」
「仕事で無理なんでしょ?」
「まあ……今日は外に出てるし難しいでしょうね」
そうして話をしているとドアがノックされた。百ちゃんが立ち上がってドアを開けると、俺より年上に見える少しコワモテの男性が二人分の料理を運んでくれた。昨日部屋の前にいた人だ。
お礼を言うとすぐに部屋を出ていって、百ちゃんと二人になる。
あの人はずっと部屋の外にいるのだろうか。そして俺の見張りをしているのか。
「……食べませんか?」
「あ、食べます!」
「さっきの人が気になる?」
「ぇ、あ……うん。ずっと部屋の前にいるよね?」
「いますね。何かあれば俺とあの人が責任持って洸さんを護るので安心してくださいね。」
「え?見張ってたんじゃないの?」
勝手に部屋から出ないように見張られているのだと思っていた。だから些か窮屈を感じていたのだけれど、どうやら少し違ったらしい。
「見張るより護衛ですね。洸さんはこの部屋で何をしてもいいし、侑生さんの許可は必要ですが、外に出てもらってもいいんです。ただ……侑生さんの許容範囲が今は狭くなっていると思うので……ちょっと苦しい感じがしますよね。」
「……はい」
「そこは俺にはどうにもできなくて……。あ、でも今日の昼は庭に出れますよ。何かあれば肉壁になるのでご心配なく」
「いや心配するよ?!」
「俺はその為にいるので」
百ちゃんがほんのり笑う。
とんでもない世界だ。
けれどこうしてそんな話をしているくらいだから、その可能性は少ないんだろうと思って少し安心する。
「よくカチコミもありましたからねえ。最近は聞いてないけど……。家にいて襲われるんじゃ安心できる場所なんかこの世にないですよね」
「……」
ホロホロ笑う彼。
やっぱり撤回。何も安心できない。
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