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第67話

■ 洸ちゃんが眠った後、そっと部屋を抜けた。 部屋の前にいた仲宗根に見張っておくように頼んで、自分の部屋に向かい、ドサッと椅子に腰を下ろす。 「失礼します」と声が聞こえて待っていると、音もなく部下が部屋に入ってきた。 「──何だ」 「はい。先程突き止めました。」 「そうか」 シガレットケースからそれを取り出す。 口に咥えるとすかさず出されたライターを使って火をつけた。 「明日には片付ける。洸がそろそろ限界らしいから」 「はい」 煙を吐いてどうするかなと唇を触る。 しっかりと話し合いをしなければ。 今後、洸に危害を加えないように。 「朝、六時に出る。準備しておくように伝えてくれ」 「わかりました」 昼頃に帰ってこれたなら、洸を外に連れ出して一緒に家を決めに行くのもいい。 憂さ晴らしにショッピングに行くのも楽しそうだし……。まあただ、洸と出掛けたいだけなのだけれど。 部下が下がったあと、明日の準備をしようと立ち上がる。 途端に目の前がぐにゃっと歪み咄嗟に椅子の背もたれを掴む。 「あー……これは寝不足……」 早く洸とぬくぬくイチャイチャして眠りたい。 次の休みは家から出ないで、洸を抱きしめたまま一日過ごそう。そうすれば心身共に百%回復するはずだ。 そう考えている合間にも別の部下がやってきたり、親父から仕事を渡されたり。 そうして夜は深くなり、そのうち空が明るくなって、朝がやってきた。 急いで洸の眠る部屋に行き、彼の眠るベッドにこっそり入って抱きしめる。 「ん……侑生、苦しぃ……」 「ぁ、ごめん……」 もそっと寝返りを打った洸は、まだまだ寝惚けていて、ぼんやりと俺を見て柔らかく微笑んだ。 「おはよぉ。今何時……?」 「今……?えっと、五時半」 「……早すぎ。寝ろ」 「洸ちゃん、俺ね、六時に出かけなきゃ行けないんだ。」 「……出掛けるの。いつ帰ってくる……?」 「早かったらお昼に。ねえ、いってらっしゃいって言ってほしいなぁ」 そう伝えると起き上がった洸が俺の上に重なった。 寝惚けてるなぁと笑っていると、もにゃもにゃ何かを喋っている。 「ん?何?」 「ゆぅ」 「はーい。どうしたの」 「……いって……ほしくない……」 そのままクゥクゥ眠りに落ちる洸。 完全に行きたく無くなった。 「もう。いってらっしゃいって言ってよー……」 ぎゅっと抱きしめて頭にキスをする。 すんっと匂いを嗅いで俺の上からおろし、ベッドを抜けて眠る洸に布団をかけ直した。

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