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第69話

百ちゃんと朝食をとったあと、仲宗根さんも合流して庭に出た。 ポロッと運動を全然していないと漏らすと、仲宗根さんが黙ってラジオ体操の音楽を流し出して、百ちゃんと顔を見合わせ笑いながら真剣に体操をした。 「この体操、真剣にするとすっごく体すっきりして気持ちいいよね。」 「そうですねぇ。久々にやると気持ちいいかも」 「仲宗根さんはしないの?」 「俺は毎朝してるので」 どうやら朝の習慣らしい。 俺もそうしようかな。どうせなら侑生も巻き込んで。 「あ、そう言えば今朝侑生に起こされたんだよね。何か言われたけど覚えてなくて」 「ああ。今日ちょっと忙しいみたいで、多分そのことを話したんじゃないですか?」 「へえ……ココ最近は特に、毎日忙しいイメージだけど。」 「この生活、今日で終わるかもしれないらしいですよ。」 「!」 百ちゃんがコソッと教えてくれたことに驚いて目を見開く。 今日でこの生活が終わる……? 何もすることなくただ時間が流れる日々が今日で!? 「『かも』なので確定じゃないですけどね」 「そっか……そっかあ!百ちゃんと仲宗根さんと話すのは楽しいけど、あの部屋で何もせずいるのは退屈だったから嬉しい。」 「まあ、何事も無ければいいけど──」 チクリ。胸が痛む。 百ちゃんがそう言ったと同時に痛んだそこを抑えた。 「おい百。あんまりそういうことを言うな」 「え……あ、フラグ?」 仲宗根さんが眉間に皺を寄せて百ちゃんを叱っている。 百ちゃんも口角を若干引き攣らせた。 「何かソワソワする。侑生大丈夫かな……」 「大丈夫ですよ。あー……一回部屋戻ります?」 「うん」 百ちゃんに腕を掴まれ、引っ張られるように部屋に戻る。 仲宗根さんはいつもの様に部屋の前で待機して、俺と百ちゃんは部屋に入り床に座って、嫌な予感を振り払うように、どうでもいい話を繰り広げた。

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