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カフェデートと中庭散歩から帰ってきて、まだ信じられない気持ちでいた。
12位。また順位が上がっていたのだ。
作戦会議をすべく、ふたりでバスルームの脱衣所に来た。
ここは視聴者に配信されないので、オフレコな話ができる。
とはいえ、1日に何度も入っていると『計算しすぎててつまんない』とか言われるらしいので、あまり使える手ではない。
「すごいね。2日でここまで上がるとは、さすがに思ってなかった」
「やっぱりその……エッチなことしたから?」
「まあ、それはあるだろうね。と考えると、これから他のカップルも擬似セックスし始めるだろうから、惰性でしてても順位は下がると思う」
「どうすればいい?」
水戸くんはちょっと考えてから言った。
「でもまあ、あんまり打算的すぎても興醒めされるだろうし。日中の配信を、固定ファンがつくように力入れる方がいいかもね。そっち方面でポイント取ろうとしてくるカップルは、少ないだろうから」
なんか、頭いいんだな。
……という、最高に頭が悪い感想が浮かぶ。
水戸くんはポンと肩を叩いて微笑んだ。
「でもまあ、理空は多分、そういうことを真面目に考えちゃうとリラックスできないと思うから、普通にしてて。俺に任せて欲しい」
「うん。全面的に信じてる」
「……可愛い」
ちゅ、と、キスされた。
びっくりして、目を見開く。
頬を両手で挟まれて、何度も何度も……
「み、とくん、ここって別に配信されてない、」
「うん。されてないね」
「じゃあ、なんでキス……?」
「したいから」
舌が入り込んできた。
「はぁっ、だめ、みとくん」
「また勃っちゃう?」
ストレートに言われて、顔が熱くなる。
鏡を見ると、耳まで真っ赤だった。
「……名残惜しいけど、戻ろっか」
「え、ちょっとこの顔赤いの冷めてから……っ、うわ」
手首を掴まれ、つんのめりながらベッドに戻る。
[え!? なんか理空くん真っ赤なんだけど!る!?]
[ふたりっきりで何話してたのか気になるーーーーwww]
意味なくキスしてました、なんて、絶対言えない。
水戸くんは満足げに壁のディスプレイを切った。
「配信のポイントを入れてもらうのはもちろん大事なんだけど、でもやっぱり、たまには独占したくなるよね」
「どくせん……?」
「俺にキスされてエッチな顔してるの、他の人に見せたくないじゃん」
顔から火を噴きそう。
ついでに、きのうの夜のことを思い出して、また……勃っちゃいそう。
でも、こんな夕方の時間帯にしたって、多分意味ないから。
「はずかしぃ」
「理空、ここでキスするより、誰も見てない方がエッチな顔だった。興奮しちゃった?」
「ん。だって、」
何の得もないことでキスされたら、ほんとに僕のこと好きって思ってくれてるんじゃないかとか、勘違いしてしまう。
「俺はどっちも好きだよ。ふたりっきりで恥ずかしがってる理空も、人にエッチな声聞かれて興奮してる理空も、どっちも可愛い」
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