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Day5 - なやむこ
寝坊した。
起きたら10:15だった。
そしてなんと、水戸くんはまだ眠っている。
「みとくんっ! あさ!」
「…………? うわあッ!?」
水戸くんが飛び起きて、信じられないというような顔で、ばさばさと頭を掻く。
強めにまばたきにしながらディスプレイをつけると、朝練を見にきていた人たちが、チャットで盛り上がっていた。
[おはようw]
[おきた!]
「皆さんすみません、思いっきり寝坊しましたっ」
[だいじょぶだよー観察するの面白かったwww]
[このまま起きなかったらあとでイジろって話してた笑]
ごめんなさいと謝り倒す水戸くんの横顔を眺めながら、ぼーっと考える。
きのうの夜は、なんだか、眠りが浅かった気がする。
ついでに言うと、なんか、布団の中で、ちょっとだけエッチなことをしていたような……?
「いや、そんなわけないか」
「何が?」
「ううん、なんでもない」
きっと、初エッチをして浮かれすぎて、いやらしい夢を見たんだ。
[寝坊しょうがないよ。きのう水戸くん、寝込み襲ってたっしょw]
[え?なに??知らない]
[夜中、布団の中でもぞもぞしてて、たまにりくちゃんが喘いでたw]
「へ!?」
僕が大声を出すと、水戸くんはびくっと肩を揺らし、いたずらがバレた子供みたいな顔をしていた。
「……見てる人いたんですね。すみません。しかもR18モードにするの忘れてて、ペナルティ食らうかもです」
「え? えっ? どういうこと?」
とんでもなく気まずそうに告げられた『昨晩の出来事』とやらは、僕は全く覚えておらず、羞恥 のあまり、どうにかなってしまいそうだった。
「それ、それって、布団の中だったから見えてないんだよね?」
「うん。俺が布団にもぐって、寝てる子にちょっかいかけ続ける変態野郎だっただけだから」
「変態!? なんて、そんなっ、……いや、え? どこまで何をしたの?」
「それは言えない。でも、最後まではしてない」
[やばい朝から妄想はかどる]
[ペナルティは平気じゃないかな? 見えないように配慮できてれば]
[去年、R18モード1回も使わないで全部布団でやった人たちいたよ]
[何その猛者wwww]
[覚えてる! 手足の動き見えるからめっちゃ人気だったよね笑]
ペナルティは、前日に取っていたポイントが丸ごと剥奪 になるので、5日目に食らうのはかなりの痛手だ。
……って、もはやそんなことはどうでもいい。
水戸くんに何をされたのかが、気になりすぎる。
「皆さんすみません。きょうは発声練習やらないです。起き抜けで声を出すと喉によくないので、すみません」
「僕は起き抜けに大声出したけどね」
「ごめん……。ちょっと、お風呂で言い訳させて。それに多分、シャワー浴びた方がいいと思うから」
[ぎゃーーーーーーーーー!、!!]
[いってらしゃいw]
着替えを持って、バスルームに向かう。
脱衣所に入るなり、抱きしめられた。
「ごめん。夜中、ずっと理空に触ってた」
「触るって?」
「けっこう、シャツめくって背中舐めたり、乳首触ったり、最終的には俺が理空の飲んだ」
「え、え……? 僕、イッたの?」
「……イクまでやり続けた、というのが正解。ごめんね」
「なんで起こしてくれなかったの……」
へなへなと力が抜ける。
どういうこと?
そんなことしたって、ポイント稼ぎには何も貢献しないじゃないか。
「ごめん。止まんなくて。誰にも見せたくないし、してるってバレたくなかったから、R18にしなかった」
「え? じゃあ、忘れてたっていうのは……?」
「嘘。モード切り替えたらお客さん見にきちゃうから、わざとしなかった。ペナルティ食らうならもうそれでいいやって」
理解が追いつかず、ぱちぱちとまばたきを繰り返すしかない。
そしてかろうじて出た言葉は、なんとも的外れなものだった。
「水戸くん、最後までイッてないの? しようか?」
「……え?」
「見られたくないなら、お風呂でしよ?」
何言ってるんだ、と、自分で思う。
そう思うのに、なぜか僕は彼の手を引いてバスルームに入り、シャワーをひねった。
ザーッと流れるお湯に当たりながら、ボディソープを手に取り、勝手にお尻をほぐしはじめる。
「理空、いいの?」
「してほし……っ」
水戸くんの指が侵入してくる。
ゾクゾクと、全身に快感が走る。
「ぁ、あ……っ、ん」
「前戯とか何もなしで、挿れちゃって平気?」
「うん。だって、夜中いっぱいしてくれたんでしょ?」
水戸くんは何も言わず、前立腺をコリコリと刺激してくる。
僕はびくびくしながら、息を詰めた。
「ん、やっぱり、もうちょっと触りたいな」
「は、ぁっ、あんっ……、」
「可愛い。理空。誰も聴いてないから、もっとエッチな声聞かせて?」
「……はぁっ、みとくん、きもち、おしり、お尻きもちぃ」
「ここは? 乳首、勃ってる」
「んぅ、ぬるぬる、ぁう、あっ、乳首気持ちいい」
ボディソープで滑る乳首を爪でカリカリされると、両脚が震えた。
乳首とお尻をしつこくされて、前は触っていないのに、イッてしまいそう。
「あンッ、ああっ、あッ」
「すごい。エッチな声響くね」
「あぅ……、みとくん、せーし、せーし出ちゃぅ」
「胸とお尻でイッちゃおうか」
「……ッ、あ、ンッ、はあっ、あぁっ、イク、あぁんッ、……っ、イクッ、あああああっぁああッ……!!」
ビュルッビュルッと、精液が飛ぶ。
水戸くんは乳首を触っていた手を離し、射精する僕のペニスをしごいた。
「あっ! やだ、イッてる……ッ! あぁんっ!」
「見て、ほら。まだいっぱい精子出るよ。気持ちいい?」
「あンッ、んんっ、あぁ……ッ、」
前立腺をぎゅうぎゅう押しながら、搾り取るようにペニスを擦る。
全て出し切ると、ガクガクとひざが揺れた。
「はあっ、あぅ、あ……っ」
「俺も気持ちよくさせて?」
「ん、んー……、挿れて、はやく、…………ッ、ああっ」
壁のタイルに手をつき、ギリギリ体を支える。
水戸くんは僕の腰を掴んで、ばしゃばしゃと音を立てながら抽送を繰り返す。
「理空、なか、気持ちいい。やばい」
「ん、んぅ……っ、はあっ、みとくん。えっちな気持ちになってくれるの、うれしぃ」
肩口をがぶっと噛まれた。
声が裏返って、嬌声を上げてしまう。
「りく、りく……、もうイク。中出していい?」
「ん、だして。おなかのなか、水戸くんのせーし、」
「…………ッ、イク、……っぅあッ……!……っ!」
ドクドクと、お腹の中で、脈打つのを感じる。
しばし抱きしめられたあと、ずるりとペニスが引き抜かれ、どろっとした精液が太ももの間に垂れた。
シャワーに流されてゆくそれを見ながら、体の力が抜ける。
「おっと」
「はぅ、ごめん。力入んない」
水戸くんに体を拭いてもらい、ふらふらと服を着て部屋に戻ると……。
[エッロ!!!]
[やばい一生聞いてたい仕事戻りたくない]
[あ、帰ってきた!]
チャットの流れを見て、事態を把握する。
視聴者は、平日の午前中だというのに、300人を超えている……。
「え、……っと。もしかして、聞こえてましたか?」
水戸くんがおそるおそる尋ねると、画面が埋め尽くされるほどのコインと共に、だーっとチャットが流れた。
[ナイス発声!]
[めっちゃよく聞こえてたよw 朝練おつかれwwww]
[やっぱ反響するといい声だな~。早くデビューしてほしい]
僕はもう耐えられなくて、布団の中にもぐりこんだ。
水戸くんがめちゃくちゃ弁解してくれているけれど、それすら恥ずかしくて聞けない。
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