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interlude5
水戸慶介は、焦っていた。
伝わらない!
全っっっ然伝わらない……ッ!
真剣に好きだと伝えても、へにゃっと笑ってかわされてしまう。
あるいは、悲しそうな目で、無理やり微笑むか。
何にせよ、自分の発する言葉の全てが演技だと思われているということは、よく分かる。
まあ、擬似カップルっていう趣旨のイベントだし?
実際に好きになっちゃう奴とか、聞いたことないし???
慶介は頭を抱え、うずくまった。
トイレが長過ぎるのも視聴者に筒抜けという極限配信なので、あまり悩んでもいられない。
「はあ」
ため息をこぼし、両頬をぺちぺちと叩く。
もし本気だと受け取ってもらえたとして、その後どうにもなるまいということは分かっている。
先のない恋だ。
かといって、簡単にあきらめられるほどお利口ではない自覚もある。
好きなものは好きだ。
でも、どうにもならない。
「はあ」
のそっと立ち上がり、個室を出る。
手を洗いながら、大きすぎるベッドを見る。
真ん中にできたこんもりとした山は、微動だにしない。
水戸慶介は、嘆息する。
うちの眠り姫は、何度キスしても、全然好きになってくれそうにない。
interlude5 End.
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