30 / 32

7-4

 部屋に戻ってくると、水戸くんは深くため息をつきながら、僕をぽすんと布団に押し倒した。 「ハルトとユーキがデキてるなんて知らなかった。何が『決定的な違いがある』だよ……」 「あんまり違わなかったね」  もぞもぞと身じろぎすると、水戸くんは、僕の首筋に顔を埋めながら言った。 「はー。ハルトは性格悪いからね。蹴落とすつもりはないとか言ってたけど、100%蹴落とすつもりだったから。そういう奴なの、昔から。だからスクールで関わっちゃダ……んっ」  僕は水戸くんの口をキスでふさぎ、ちょっとむくれて言った。 「せっかくふたりきりになったのに、なんで別の人の話ばっかりしてるの」 「……あはは、ごめん。気が利かない彼氏だね、俺は」 「か、かれ、……し」  急激に顔が熱くなっていくのが、自分でも分かる。 「あ、視聴者さんたちに心配かけたかな」 「そうだ。お詫びしないとっ」  慌てて飛び起きチャットを表示すると、だーっとコメントが流れ出した。 [ああああああああなんともなくてよかったーーーーー] [あんの野郎マジぶちのめしてやろうかと思った笑] 「皆さん、ご心配おかけしてすみませんでした。俺も理空も大丈夫です。あとハルトは、まあ性格ひねくれてはいるんですけど、ストイックだし声楽に対して真摯なのは本当なので、ちょっと毒舌キャラくらいの感じで……」 [もう、水戸くん!!他の男の話しないの!!!!] [りくちゃん、ぷんぷんして!] [それはただの欲w] [バレた笑]  よかった、視聴者さんたちも通常運転だ。  ほっと胸を撫で下ろし、水戸くんの肩にもたれかかる。  もうここを出たら、こんな大きなベッドで愛し合うことなんてないのかな……と思うと、ちょっと名残惜しく感じてきた。  でも、もうR18モードは使わないって決めたし……。  悶々としていると、水戸くんが僕の顔をぐいっと振り向かせて、にーっと笑った。 「ねえ、いま理空が何考えてるか当てようか」 「え? わ、分かるの?」 「うん。エッチしたいなって考えてたんじゃない」 「う……!? う、うん。ごめんねっ、もうしないって決めたのに」 「ふふ。そんなの、俺がテレパシー送ったからだよ」  驚いて、思わず目を見開く。 「視聴者さんにはすごくすごく申し訳ないんですけど、残りの時間全部、ください。理空のこと、ちゃんと抱きたいです」  コメントが、『あああああ』の連打に変わる。  固定タグが『みとりく聴き納め』に変わる。  水戸くんがディスプレイを切るのと同時に、部屋が暗転した。 「理空、おいで」  抱きしめられると、それだけで心拍数が上がった。  口づけて、唇をぺろっと舐められて、舌の先でつんつんと突かれる。  水戸くんに教わった、ちょっと大人のキス。  舌が絡んで、水戸くんの指が背中をさまよう。  僕がしがみつくと、水戸くんはその手をはがし、手首をまとめて僕を押し倒した。 「はぁ、みとく……ん、ぼく、」 「すごい、エッチな顔。それは演技なの?」 「演技じゃない。はやくして欲し、」  水戸くんは、言葉は冷静だけど、表情と手つきは全然余裕がなさそうだった。  早く繋がりたくてもどかしくて、僕は手首の拘束を外そうとジタバタしたけれど、さらにぎゅうっと押さえつけられて、逆に興奮してしまった。  片手で僕の動きを封じながら、全身のあちこちを撫でたり舐めたり……水戸くんの息遣いが荒い。  股間の膨らみが何度も当たって、早くそれで僕をどうにかしてくれと思う。 「みとくん、ん、きもちいぃとこ触って」 「理空の気持ちいいところ、いっぱいあるよ」  手を外し、いやらしい音をたてながら、僕の体を(むさぼ)る。 「ん、ふぅっ……、水戸くん、中、なかぁっ」 「うん。おしりひくひくしてる。可愛い、挿れていい?」  ローションで濡らした指で、中をかき混ぜられる。  ぐちゅぐちゅとした音と、水戸くんが生唾を飲む気配。  これからどうされるのか分かって、興奮してしまう。  ごろんとひっくり返りそうなほど高く足を持ち上げられ、水戸くんのものが侵食してきた。 「あ、ぁ、あっ……」 「すご。理空。中、うねってるよ」 「ぁぅ、きもちい」 「入っただけなのに?」 「あー……、へん、へんっ、ぁっ」  いままでと比べものにならないほど気持ちよくて、何も考えられなくなってしまいそう。  7日前は、キスの仕方すら分かってなかったのに、こんな風に甘やかされてとろとろにされて、水戸くんで頭が埋め尽くされている。  緩急をつけて巧みに擦られると、お腹につくほど反り勃ったペニスから、だらりと蜜がこぼれるのが分かった。 「んぅ、みとくん……あしたから、僕、いきてけるかな」 「ん? どうして?」 「だって、毎日えっちしても足りなくて、なのに、」  水戸くんの腕にしがみつき、ぎゅーっと背を反らす。  体が弓なりになると、水戸くんのものが奥まで入ってきて、声が裏返った。 「あぁぁ……っ」 「理空、すっごく可愛い。俺とエッチするのすき?」 「ん、すき。水戸くん、好きっ」 「うん。俺も、理空のことが大好きだよ」  トントンと中を突く。  僕は大仰すぎるくらい喘いで喘いで、気持ち良くて、何度も彼の名前を呼んで。 「みとくん、ぁっ、あ……っ、も、イッちゃぅ、」 「うん。イッて? 俺も、中に出したい」 「あ、ンッ、ゃだ、……っ、おわりたくないっ」  首をぶんぶんと振るけれど、もう限界だ。  目の前がチカチカする。 「やだ、イキたくなっ、んっ、はぁっ、イッちゃぅ……っ、ゃぁっ」 「大丈夫だよ、理空」  泣く僕を抱きしめて、水戸くんは、穏やかに言った。 「あしたからも生きられるよ。だって理空は、俺のことが好きでしょ」 「ああぁああッ…………!」  びくびくと体が何度も跳ねて、盛大に熱いものが散る。  イキっぱなしでずーっと突かれているから、吐き出しても吐き出しても止まらない。 「ああっ、ンッ! あぁああっ!……っ……ッ!」 「りく、りく……っ」  ガクガクと痙攣(けいれん)する体を、水戸くんがずーっと、抱きしめていてくれた。

ともだちにシェアしよう!