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部屋に戻ってくると、水戸くんは深くため息をつきながら、僕をぽすんと布団に押し倒した。
「ハルトとユーキがデキてるなんて知らなかった。何が『決定的な違いがある』だよ……」
「あんまり違わなかったね」
もぞもぞと身じろぎすると、水戸くんは、僕の首筋に顔を埋めながら言った。
「はー。ハルトは性格悪いからね。蹴落とすつもりはないとか言ってたけど、100%蹴落とすつもりだったから。そういう奴なの、昔から。だからスクールで関わっちゃダ……んっ」
僕は水戸くんの口をキスでふさぎ、ちょっとむくれて言った。
「せっかくふたりきりになったのに、なんで別の人の話ばっかりしてるの」
「……あはは、ごめん。気が利かない彼氏だね、俺は」
「か、かれ、……し」
急激に顔が熱くなっていくのが、自分でも分かる。
「あ、視聴者さんたちに心配かけたかな」
「そうだ。お詫びしないとっ」
慌てて飛び起きチャットを表示すると、だーっとコメントが流れ出した。
[ああああああああなんともなくてよかったーーーーー]
[あんの野郎マジぶちのめしてやろうかと思った笑]
「皆さん、ご心配おかけしてすみませんでした。俺も理空も大丈夫です。あとハルトは、まあ性格ひねくれてはいるんですけど、ストイックだし声楽に対して真摯なのは本当なので、ちょっと毒舌キャラくらいの感じで……」
[もう、水戸くん!!他の男の話しないの!!!!]
[りくちゃん、ぷんぷんして!]
[それはただの欲w]
[バレた笑]
よかった、視聴者さんたちも通常運転だ。
ほっと胸を撫で下ろし、水戸くんの肩にもたれかかる。
もうここを出たら、こんな大きなベッドで愛し合うことなんてないのかな……と思うと、ちょっと名残惜しく感じてきた。
でも、もうR18モードは使わないって決めたし……。
悶々としていると、水戸くんが僕の顔をぐいっと振り向かせて、にーっと笑った。
「ねえ、いま理空が何考えてるか当てようか」
「え? わ、分かるの?」
「うん。エッチしたいなって考えてたんじゃない」
「う……!? う、うん。ごめんねっ、もうしないって決めたのに」
「ふふ。そんなの、俺がテレパシー送ったからだよ」
驚いて、思わず目を見開く。
「視聴者さんにはすごくすごく申し訳ないんですけど、残りの時間全部、ください。理空のこと、ちゃんと抱きたいです」
コメントが、『あああああ』の連打に変わる。
固定タグが『みとりく聴き納め』に変わる。
水戸くんがディスプレイを切るのと同時に、部屋が暗転した。
「理空、おいで」
抱きしめられると、それだけで心拍数が上がった。
口づけて、唇をぺろっと舐められて、舌の先でつんつんと突かれる。
水戸くんに教わった、ちょっと大人のキス。
舌が絡んで、水戸くんの指が背中をさまよう。
僕がしがみつくと、水戸くんはその手をはがし、手首をまとめて僕を押し倒した。
「はぁ、みとく……ん、ぼく、」
「すごい、エッチな顔。それは演技なの?」
「演技じゃない。はやくして欲し、」
水戸くんは、言葉は冷静だけど、表情と手つきは全然余裕がなさそうだった。
早く繋がりたくてもどかしくて、僕は手首の拘束を外そうとジタバタしたけれど、さらにぎゅうっと押さえつけられて、逆に興奮してしまった。
片手で僕の動きを封じながら、全身のあちこちを撫でたり舐めたり……水戸くんの息遣いが荒い。
股間の膨らみが何度も当たって、早くそれで僕をどうにかしてくれと思う。
「みとくん、ん、きもちいぃとこ触って」
「理空の気持ちいいところ、いっぱいあるよ」
手を外し、いやらしい音をたてながら、僕の体を貪 る。
「ん、ふぅっ……、水戸くん、中、なかぁっ」
「うん。おしりひくひくしてる。可愛い、挿れていい?」
ローションで濡らした指で、中をかき混ぜられる。
ぐちゅぐちゅとした音と、水戸くんが生唾を飲む気配。
これからどうされるのか分かって、興奮してしまう。
ごろんとひっくり返りそうなほど高く足を持ち上げられ、水戸くんのものが侵食してきた。
「あ、ぁ、あっ……」
「すご。理空。中、うねってるよ」
「ぁぅ、きもちい」
「入っただけなのに?」
「あー……、へん、へんっ、ぁっ」
いままでと比べものにならないほど気持ちよくて、何も考えられなくなってしまいそう。
7日前は、キスの仕方すら分かってなかったのに、こんな風に甘やかされてとろとろにされて、水戸くんで頭が埋め尽くされている。
緩急をつけて巧みに擦られると、お腹につくほど反り勃ったペニスから、だらりと蜜がこぼれるのが分かった。
「んぅ、みとくん……あしたから、僕、いきてけるかな」
「ん? どうして?」
「だって、毎日えっちしても足りなくて、なのに、」
水戸くんの腕にしがみつき、ぎゅーっと背を反らす。
体が弓なりになると、水戸くんのものが奥まで入ってきて、声が裏返った。
「あぁぁ……っ」
「理空、すっごく可愛い。俺とエッチするのすき?」
「ん、すき。水戸くん、好きっ」
「うん。俺も、理空のことが大好きだよ」
トントンと中を突く。
僕は大仰すぎるくらい喘いで喘いで、気持ち良くて、何度も彼の名前を呼んで。
「みとくん、ぁっ、あ……っ、も、イッちゃぅ、」
「うん。イッて? 俺も、中に出したい」
「あ、ンッ、ゃだ、……っ、おわりたくないっ」
首をぶんぶんと振るけれど、もう限界だ。
目の前がチカチカする。
「やだ、イキたくなっ、んっ、はぁっ、イッちゃぅ……っ、ゃぁっ」
「大丈夫だよ、理空」
泣く僕を抱きしめて、水戸くんは、穏やかに言った。
「あしたからも生きられるよ。だって理空は、俺のことが好きでしょ」
「ああぁああッ…………!」
びくびくと体が何度も跳ねて、盛大に熱いものが散る。
イキっぱなしでずーっと突かれているから、吐き出しても吐き出しても止まらない。
「ああっ、ンッ! あぁああっ!……っ……ッ!」
「りく、りく……っ」
ガクガクと痙攣 する体を、水戸くんがずーっと、抱きしめていてくれた。
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