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第1話:プロ-ログ
啼いてはいけない…。
強くあらなければ。
ー…弱音を吐くコトになる。
全て、あの日から己で決めた事なんだ。
あの頃から『涙を流さない』と、決意した。
一つ何か覚える度に嬉しさを感じる事を諦めた。感情を徐に出せば、大切なモノを喪失(うしな)うと理解した。
だったら、一層、感情を無にしてしまえば…。
傷みも消えていくだろう。
そんな自分を見て、口元の端を上げた奴がいた。
相当な趣味だと思った…。
僕が周りから何て呼ばれているのかも知らないのだろうか。それとも、知っていて業っと自分の隣に居らせているのか。
だとしたら…。
コイツ、馬鹿だろう。
頭沸いているって、絶対。
『癒燐ね…。彼奴が付けそうな名前だな』
初めて逢った科白が若干、いらっとさせたけど…。
否、若干じゃなく、マジに殺してやろうかと心の奥で思わせてくれたよ。
畜生変人野郎こと、雨神 誠生(あまがみ せいい)。何でも話を聞けば、雨を司る神様の孫とかで。
水鬼帝とも関わりが少なからずあるとか、父上が超絶な笑顔で教えてくれた。
何時も笑顔が絶えない人だが、あの時は違った意味で浮かべていた様な気がする。
彼が、どんな形で水鬼帝に関わっているか知らないけど。父上を敵に回す様な真似をしないか、逆に心配になってくる。
今までの男性は …。
打ちのめされた。
二度と、這い上がってこれない様に。
あれは…。
恐怖を埋め込んだと思う。
視線があった瞬間、ブルブルと震えていたから。
流石、僕の父親…。
ー…緋神帝 械(ひかみてい かい)だと思う。
小耳に挟んだが、少年期の頃に既に同級生を躾した伝説を持つ超人。
だけど、真似はしてはいけないと言われたのでやらない事を心に誓った。
そんな危ない事をしたら、怒られてしまう。
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