2 / 8
0-1
『名前は“誠生”って、付いているけど…本人は不誠実な男だから。確実に名前負けだよ』
確かに、父上が言う通り僕も不誠実だと思う。というか、名付けた親に文句を言ってやりたいね。
『貴方の息子さん、名前と性格が合ってませんよ!もう、不潔と名前を変えて下さい』と。
あ、けど…。
彼でも敵わないのは、天下無敵である僕の祖母様。
三神帝の頂点の御上だったりする。
『…黒い。械より黒過ぎる』
以前、ほざいていたのを思い出した。
黒さは知らないけど、父上よりって所が気になる。
まぁ、親族に聞いた所で黙認してしまうのは解っている。僕には、聞かせる訳にはいかないという迷惑なお節介だ。
きっと、誰一人として口を開いてはくれない。
各言う自分も無理強いして、問い質す気もないから、敢えて触れないでおこうと思う。
何たって、触れぬが祟りという諺がある様に、触れない方が良い時もあるからだ。
時として、この男…。
僕を抱くと、何時も嬉しそうな表情をする。
乱れていく姿が、彼の瞳にどう映っているかは解らないが。その後は、逝かせて、失神した僕を抱っこしながら後処理をしているそうだ。
それを聞いて以来、一度で良いから彼をぎゃふんと言わせたい闘争心に燃えている。
此処は、盤の上だと考え…。
後者で打っておくのが良いだろうな。
先手を打つと、僕自身が不都合。
頭の中で組み立てた計画を密かに実行へ移すのは、もう少し、彼の動きを見ながら。
ゆっくり駒を進めて行こうと決めた。
遊戯は楽しまなければ損なんだと、父上や祖母様に教えられた。
だからこそ、僕は彼が驚いて、心臓が止まるんじゃないかというくらいの享楽を求めている。
リードをするなら…。
僕か、彼か。
どっちに転がるか解らないスリリングが堪らない。
ともだちにシェアしよう!