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紳士的なスマイルを、浮かべながら、春風に当たる姿は。何とも、言えない美形を引き立たせる。 彼は、思わず、涙が、ポロリと、出てきそうになった。 夜神帝に、生まれてきてアレだが。 他の王族よりは、落ち着いているんじゃないだろうか。 それも、夜神帝を、率いているのは『妃奈騎様』のお陰だ。 殺戮神の家系である三神帝の血を引いている割には、穏やかな性格で、しっかりしている。それが、夜神帝の総帥としての風格かも知れない。 「ほら、癒燐、お兄様に」 「…ぐっ」 「お仕事、頑張って、はにかみスマイル」 「父様、それは、ズルいです。乳児使って、何をしているんですか…」 本当、殺戮神一族の三神帝と、水鬼神一族の水鬼帝に、生まれたお方だろうか。 本妻である千耶様のお心を、伺いたいもんだ。 「ズルいも、何も、君は、少し、垢抜けた方が良いよ。堅い…堅い」 如何にも、肩の力を抜けと、言われている感じがした男性は、父親の科白に、呆然とした。 『僕の息子なのにね。まぁ、三神帝の仕事をさせないのが、母君との約束だし、仕方ないんだけど。夜神帝の仕事は、こなせないとね』 癒燐を、抱き抱えながら、吐いた械は、視線を彼に、移し。窓の外へと、促した。 晴天な空に…。 夜色の髪を、風に、靡かせて。 仄かに、微笑むのだろう。 貴方は、僕の気配に気付いて、手を振る。 緑に、囲まれたこの、場所が、何より好きなお方だから。 「母様、随分、買われましたね…」 「解っているなら、下りて来て、手伝って!睦美(むつみ)」 少し、不貞腐れた顔をする母親。 相変わらず、両手に、荷物が沢山だ。 家臣を、頼れば、早いと、教えたのに、自分で買った方が良いと、断固拒否するもんだから、思い通りにさせているが、あの、量は何だ。 半分、呆れ顔をした睦美。

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