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第13話

聖のマンションはバーからタクシーで2m程、向かった先だった。 無駄な物のない、無機質な部屋。 フローリングのタグもソファやカーテンもアイボリー。柔らかい色調でもある1DK。 「適当に座って。コーヒー?ビール?」 「...コーヒーで」 キッチンに立つと珈琲の香りが部屋に充満する。その間、ソファに座り辺りを見渡した。 不意にベッドに見蕩れた。 「ポーションは?」 「いいです」 「そ」 素っ気なく聖は答えると惇生の向かいに座りカップに口付け、コーヒーを啜る。 「コーヒー飲みに来た訳じゃないわよね」 聖の物言いはいちいちカチン、と来る。 「どうして大悟が気になるのかわからないんだけど?」 思わず、口を噤んだ。 「まさか、大悟が好きで、なんて言わないわよね」 「そ、そういうわけじゃ、ただ」 「ただ?」 カップに顔を伏せたまま、聖が上目遣いに惇生を見る。惇生を敵視している事は惇生もわからない訳じゃ無かった。 「謝りたかったんです」 「...謝る?」 手のひらでマグカップを包んだ。 「酷い事、したな、て...」 「....酷い事」 長い沈黙が痛かった。 「バレちゃったのよ。大悟にのめり込み過ぎた子がいて。大悟の両親にね。もう留学は無いでしょうけど...いや、わからないわね」 「バレた....?留学...?」 「あんた、何にも知らないの?」 驚愕の眼差しに、惇生は言葉が詰まった。 「....私から話していいかわからないけど...大悟がまた日本を離れたりでもしたらだし....」 そうして、聖が説明してくれた。 大悟は資産家の御曹司。 ゲイである事を、高2で知られた。 交際がバレるや否や、大悟はアメリカに留学。 当時の彼氏は大悟の両親から大悟を唆した等、数々の言葉で傷つけられ、両親からは精神科に入れられ、離れ離れにされた。 それから、大悟は決して彼氏を作らず、互いの了承の元、気ままに遊べる恋人ともセフレとも付かない関係を続けてきた。 全ては過去のような過ち、元彼がボロボロになった過去の教訓からだ。

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