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第22話

鼻歌を歌いながら、惇生が大学に着くや否や。 校門前で腕を組む、派手な男に目が止まった。 ほぼ金髪の髪は丁寧にセットされ、色白な小さな顔は不機嫌そのもので、腕どころか脚まで組んで立っている。 聖だった。 「...暇人なこった。オネエに来られたら、目立って困るんだけど?」 「言われなくても、使い分けくらいできる。ちょっと時間ある?」 「ある訳ないだろ、今、大学着いたってのに」 「大悟の話しで重要な話しがある」 暫し、2人は睨み合ったが、惇生は深いため息をついた。 「俺の話しって?」 聖も惇生も目を見開いた。 噂の人物が2人の間に現れ、聖は狼狽えた。 どんな汚い言葉を使ってでも、嘘偽りを吐いても、惇生に大悟を好きにさせないよう、聖は惇生の元を訪れたのだ。 「...なんでもないよ。ああ、そうだ、この惇生って子、服のセンス、てんでないみたいだから、今度うちの店に連れてきなよ。コーディネートしてやるよ」 途端、惇生はカチン、とし、聖を睨みつけた。 「ああ、そうだな。お前のオネエ言葉より、今みたいな普通な口調のがいいけどな」 「...努力する」 「話しはそれだけか?」 「...後で電話する」 そうして、聖は停めていた車に乗り、去っていった。 運転席で聖は忌々しい顔で親指の爪を噛んだ。 「...なんなんだろ、あの人。いちいち、癪に障る」 「気にすんな。...でも確かに」 少し惇生の肩を押し、大悟は惇生の全身を舐めるように見た。 「...大学終わったら、時間、あるか?」 ぼんやり惇生は大悟を見つめた。 「...だったら、1つ、お願いがある」 にこっと惇生は微笑んだ。

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