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第4話

「はあ……」 「どうしたのよ、浮かない顔でため息なんか吐いちゃって。反応上々だったじゃない」 ハイウェイを移動中の車、後部シートにて雑誌を広げる。 誌面には『人気ポルノスターの素顔大公開!』と銘打たれ、ピジョンのインタビューが掲載されていた。 最後のくだりはばっさりカットだ。 残像が飛び去る車窓に憂鬱な顔を映し、呟く。 「俺……この仕事向いてないかも」 「天職だから安心なさい」 運転席でハンドルを握るマダム・リーが、バックミラー越しのマダム・リーが太鼓判を押す。 ピジョンは雑誌を顔に伏せ、腑抜けてシートに沈み込む。 「リーさんはなんで俺なんかスカウトしたんですか」 「なんかっていうのは過小評価ね、あなたほどお肌が綺麗で感度がいい逸材そうそういないわよ。掘り出し物と巡り会えた幸運をポルノの神様に感謝しなきゃ」 「ポルノの神様っているんですか」 「ヘルウッドの空の上にね」 マダム・リーと出会ったのはピジョンが16歳の時だ。スワローはまだ14歳だった。 生来鈍くさくなにをやらせても要領が悪いピジョンに、まともに務まる仕事などなかった。 牛乳配達をすれば自転車ごとコケて大惨事、新聞配達をすれば風に飛ばされピザ屋は方向音痴でクビになった。 当時はほかに選択肢がなかったが、ポルノ業界に飛び込んだ決断をまったく後悔してないと言えば嘘になる。 ピジョンは気を取り直して質問する。 「次は新作の撮影ですよね」 「ああ、その事なんだけど……スポンサーが見学に来るからお相手お願いね」 「聞いてませんよ」 「今言ったじゃない」 「確か内容は」 「アダルトグッズの通販番組仕立て。面白い企画でしょ」 撮る前からドッと疲れに襲われるものの、ピジョンに拒否権はない。 スタジオに到着すると本格的なセットが組まれていた。 「すごい、本物みたいだ」 ピジョンは少し感激する。 「ぼさっとしてないで監督さんにご挨拶して」 「よろしくお願いします」 「飛ぶ鳥落とす勢いのリトル・ピジョンとご一緒できて光栄だよ」 「あはは……お手柔らかに」 椅子に掛けた監督がメガホンを振って鷹揚に返す。 その隣に仕立ての良いスーツを着た、場違いなお偉方がいる。泣きぼくろの二枚目だ。 「こちらフェニクス・I・フェイト、今回の作品に出資してくれたPPの社長さんよ」 「PPってあの大企業の?」 ピジョンは目を丸くする。 「無理を言ってすまないね」 「いえ、どうぞごゆっくり。見学して面白いものかどうか自信ないですけど」 紳士的な物腰で握手を求められ、はにかみがちに応じる。 社長が監督に耳打ちし、監督が小声で何かを返す。段取りの相談だろうか。 マネージャーとスタッフが袖で見守る中、早速撮影が始まった。 台本は既に頭に入れてある。 ピジョンの役どころは通販番組のアシスタント、司会役の俳優と一緒に商品の性能を「実演」していく予定だ。 よし、行くぞ。 カメラに向かって初々しく微笑みかけ、楕円の小瓶を手にとる。 「こんばんは、今夜もはじまりました大人の通販コーナー。アシスタントはリトル・ピジョンが」 「司会はPPコーポレーション代表、フェニクス・I・フェイトが務めます」 「えっ?」 隣に社長がいた。目が合うと微笑まれる。監督の横にたたずむマダム・リーに目で問えば、にこやかに親指を立てられた。 「聞いてないぞ」 見学は建前で、監督に出演を掛け合ったのか。大口スポンサーに頼まれては嫌とは言えまい。無理を通された監督やスタッフには同情する……いや、皆乗り気だ。ピジョンの味方は誰もいない。 「まず初めにご紹介するのは我が社のアダルトグッズ部門が総力を挙げて開発したストロベリーローション、体に優しく匂いも素敵」 「PPって何の会社でしたっけ」 「細かいことはいいから嗅いでごらん」 甘いマスクの社長がふたを取り、ピジョンの鼻先に持っていく。 ストロベリーの仄かに甘酸っぱい香りが漂い、うっとりする。 「このローションは従来の物より保湿性が長持ちするんだ。アシスタント君で証明するね」 社長が下心満載の目配せをよこす。監督が頷く。ピジョンは疑問点をぐっと飲み込み、ゆっくりとシャツを脱いでいく。皓皓と輝く照明が肌を炙って落ち着かない。 「さあ、こちらへ」 「!ッ」 社長が両手にローションを垂らし、ピジョンの胸板へ塗り広げていく。 「ぁ」 「どうしたんだい、場数を踏んでるんだから恥ずかしがる事ないだろ」 「俳優じゃない人にされるのは初めてで……」 「それはそれは」 「んぅっ、あッぅ」 いやらしく蠢く手が脇腹をかすめ、薄い胸板にピンクの液体を伸ばす。 首筋をくり返し滑り、恥骨のあたりをくすぐって、早くも勃ち上がり始めた両方の乳首を抓って遊ぶ。 「まだ下拵えの段階だよ、乳首でイくのは感心しないね」 「ちが……あァっ」 社長はなかなかテクニシャンだ。竿役の俳優よりツボを心得ているかもしれない。ピンクに色付く乳首を引っ張り、根元から搾り立て、親指と人さし指で執拗にいじめ抜く。 カメラが見てる。気持ちがいい。俺の事を撮っている。スワローだって見てるかもしれない。 「股間も固くなってきた」 「い、言わないでください……」 「皆に見せてあげようか」 拒む暇もなくズボンに手がかかり、ボクサーパンツの膨らみと先走りの染みを暴き立てる。ローション塗れの手が下着をずらし、ペニスをしごきだす。 「あァっ、ぁ」 膝裏が震える。立ってられない。 「目線は前に」 社長が低く囁き、ピジョンの顎を掴んでカメラの延長線上に固定する。 「お次に紹介するのは我が社が威信を賭けて開発した高性能ローター、従来の物とは倍の振動で圧倒的な快感をもたらします」 「!待っ、や、心の準備が」 「身体の準備は万全だろ」 抵抗するピジョンの背中に覆い被さるやローターを掲げ、裏筋の一番感じる部位にあてがいスイッチオン。 ブブブブブと甲高い唸りをたて、狂ったようにローターが暴れだす。 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~んぅあァ」 「セリフは?」 頭が朦朧として思考が働かない。 それでもポルノ俳優のプロ意識と責任感だけは手放さず、縺れて鈍る舌でカンペのセリフをなぞる。 「ろっ、ローター、すごい快感です……裏筋に付けるとビリビリきて、ぁあッ、腰の奥が蕩けてこれすごっ、振動数が段違いでッ、ふあっあッあ」 「アシスタント君の舌が回りません。使い心地は抜群みたいですね」 スタッフの間から笑いが起きる。人の気も知らないで……。 セットに突っ伏して悶えるピジョン。ローターが容赦なくペニスをシェイクし、衝撃が伝わって芯までふやけていく。 「ぁっ、だめもッ、イくっや、一旦止めてくだ、さ」 「これからが本番だよ」 片手でローターを押し当てたまま、反対の指をツプリとアナルに滑りこませる。ローションのぬめりが手伝って痛みは殆どない。 「ぁあッあ」 「お次はこちらです。我が社の技術力が結集した最新バイブレーター、振動と回転を同時にこなす優れもの」 「違うのに結集させろよ!」 「スイッチオン」 脊髄反射で突っ込むピジョンの尻に、いざバイブレーターが突っ込まれる。 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッああァ」 殴り付けるような衝撃。バイブレーターがアナルに入り、ローションで潤んだ媚肉をかき回す。 気持ちいいよすぎだめだ止まんない、セットに上体を突っ伏したピジョンがカメラ目線でピュッピュッと射精する、その間もローターは振動を続け萎えたペニスを攪拌、社長は手首に捻りを加えバイブレーターを出し入れする。 「イッちゃ、俺イッちゃ」 「ちゃんと商品の説明をしてもらわないとギャラは出せないよ」 「~~~ッ、バイブっ、俺ん中、尻入ってんのすご、はァっああ、回転と振動がすごッ、くてっ、奥までギチギチでっ、はァっンあ、もっグチャグチャ、お願いしまッあっあ買ってくださいっ」 監督やスタッフが生唾を呑んで身を乗り出す、マダム・リーが満足げに顎を引く、スタジオ中の人間がピジョンの痴態に熱っぽい凝視を注ぐ。 生身の人間と無機質なカメラ、両方に視姦され倒錯した興奮をおぼえる。 「中っ、奥あたる、んぅっァあっあ、フィットするデザインでっ、ぁあっあ、お買い得ッふぁあンっ、今なら3割引きローン払いも可ァんっあ!!」 涎をたらして連続絶頂、ローターに揺すり立てられペニスが再びもたげていく。 「ずっと君のファンだったんだ。今日撮影があるって聞いて、勇んで駆け付けたよ」 固くなった股間を尻に押し付けられぎょっとする。 興奮に息を荒げてズボンを寛げ、赤黒く勃起したペニスを引っ張り出すや、バイブに弄ばれ弛緩しきったアナルに挿入。 「~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッァああ」 バイブレーターで感度を増した媚肉を、はち切れんばかりに猛ったペニスが巻き返す。 「ぁあっあ、ィっく、社長さ、待っ、休憩」 「腰を振りながら言ってもね」 社長が抽送を開始、腰を抉りこむように叩き付けて前立腺を突きまくる。ピンクゴールドの髪を乱し、口半開きの茹だり顔のピジョンを、カメラが無機質にとらえる。 「気持ちいいかい?君がよがる姿をカメラの向こうのファンが見ているよ」 「ぁあっ、あっあ」 「くっ……締まった。見られるのがイイなんて変態だね」 「……仕事だから、カネのため、しかたなく……」 「手がお留守だよ?ほったらかしじゃ可哀想だ、自分で慰めてごらん」 社長に促され、ピジョンは自らの乳首をいじりだす。 「んッあ、ふぁっ、ぁっあ、ふぁッ」 しこった突起を引っ張り、揉み潰し、捏ね回す。 甘酸っぱい快感がこみ上げて、前と後ろから挟み撃ちの衝撃で蕩けて、艶っぽい声で喘ぐ。 「どんな感じか説明しなきゃ伝わらないよ」 「乳首、コリコリして……むずがゆくって。後ろゴリゴリされるとすごいよくて、ぁあッ」 「セールスポイントはご理解いただけたかな」 「ィっ、ィく、今すぐお電話をっ、ふぁッンぁ番号はお間違いなくッ」 「よろしい」 社長がピジョンの両足を掴んで開き、カメラの正面にさらけだす。 「なっ……」 「フィニッシュは皆に見せてあげようね」 耳たぶまで赤く染めて涙ぐむも社長は笑って取り合わず、ピジョンと繋がったままラストスパートに入る。 カメラの前でピジョンの股を開かせ、勃った乳首とペニスを見せ付け、持ち上げた尻をリズミカルに串刺す。 「ぁァあっあァ――――――――――――――――――――!!」 社長が体内で精を放ち、ピジョンは全身痙攣で仰け反った。

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