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第二章・2
本屋敷のゲストルームに現れた有島 丞は、明るい青年だった。
ライトジェットの短髪が、活動的な印象を醸し出している。
口数が多く、笑みを絶やさない。
「お写真で拝見したより、ずっと素敵な方ですね」
そんな風に、翠を持ち上げてくれもした。
だが、翠の心は晴れない。
(結局、涼雅は傍に置かせてもらえなかったし)
いや、それどころかこの場に居るのは父と自分、そして丞だけだった。
そして、その父もこんなことを言い出した。
「では、私はこれで。有島さん、ゆっくりしていかれてください」
「ありがとうございます。では、また後日」
翠は、焦った。
父ですら、いなくなってしまうのか。
初対面の丞と二人きりでは、不安だった。
しかし丞は、その時を待っていたかのように、振舞い始めた。
「お茶では雰囲気がでないね。お酒は、置いてないの?」
「ぼ、僕はまだ18歳ですので。そういったことは、存じません」
「18歳かぁ。10年も年上の私、どう思う?」
「え!? あ、その。頼もしいな、って感じます……」
28歳なら、涼雅と同じ年怜だ。
(しかも、同じアルファ性なのに。ずいぶん印象が違うな)
そんなことを考えていると、丞がソファから立ち上がって、翠の隣に掛けてきた。
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