11 / 140
第二章・3
「でも、18歳なら。もう発情は済んでるんだろう?」
こんな無礼なことを言いながら、丞は翠の白い手を取った。
指と指の間を擦る仕草が、卑猥だ。
「お、おやめください」
「可愛いね。ホントに良家のお坊ちゃん、って感じ」
そして、まだ未経験、なのかなぁ?
丞は、その大柄な体で、翠にのしかかって来た。
「や、やめ、て! やめてください!」
「そそられるね。そんな声を出されたら」
ますます、いたずらしたくなる。
丞のぬるい舌が、翠の頬を大きく舐め上げた。
「お願い。やめてぇ……!」
翠は、混乱していた。
性交自体は、学校で学んでいる。
ただそれは性教育の範疇で、実際に他者と肌の触れ合いなど経験のない翠だ。
未知の恐怖に、ひるんでいた。
生々しい行為に、怯えていた。
暴れてももがいても、丞は悪ふざけをやめない。
「誰か。誰か来て! お父様!」
「残念。そのお父様からの了承も、得ているよ」
「え!?」
「体の相性も試していい、って。そうお許しをいただいてる」
そんな。
翠は、奈落に突き落とされた。
ともだちにシェアしよう!