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第三章 動転

 嫌だ。  こんな、屈辱。  ぎちぎちと埋め込まれていく丞に、翠は唇を噛んで耐えた。  悲鳴を上げないことが、残された唯一の抵抗だった。 「キッツいなぁ。さすがヴァージンだな」 「……ぐッ」  暴れて逃げ出そうとも考えたが、それを押しとどめたのは、父の存在だった。  ここで逃れても、父の命令には逆らえない。   ひどく叱られ、結局はまた、この男の餌食。  そう考えると、今をやり過ごした方が、まだましだ。 「ほら。全部挿入ったよ」  やけに明るい丞の声が、空しく聞こえてくる。  そして、悲鳴を上げまいと覚悟したはずなのに、待っていたのは地獄の責め苦だった。 「あぁ、あ! 嫌! 痛、いぃ!」  丞が激しく抽挿するたびに、内壁が擦れて苦しい。  奥まで貫かれ、異物感に吐き気がする。  涙を流し、唇を噛み、ソファを爪の跡が付くほど掴んだ。 「ああ、いいね。ナカ、熱くて蕩けそうだよ」  だが丞は、上機嫌で腰を穿ってくる。 「体の相性は、抜群だ。君となら、楽しく生活できそうだよ」  身勝手なことを言いながら、丞は翠をいじめ続けた。

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