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第三章・2

 翠を犯しながら、丞は素早く考えていた。 (オメガの体液があふれてこない、ということは。この子は、発情がまだか)  発情がまだ、ということは。 「翠くん。妊娠の心配は、まだないね」  だったら。 「だったら、中に出してあげるから!」  半ば泣きながら、翠は丞の声を聞いていた。 (中? 出す? ……え、もしかして!) 「い、イヤです! やめて、それだけは!」 「ああ、もう遅いよ」 「んぁ、あ! ヤだ、イヤぁあ!」  丞は、そのまま翠の体内に射精した。  生温かい精が、体中を巡って汚していく心地だ。 「う、あ。ヤだ。うぅ、ううぅ……」 「ナカ、ひくひくしてる。気持ち悦いよ、翠くん」  気持ち悪い。  早く、抜いて。  この体から、立ち去って。  しばらく執拗にその肌を撫でさすっていた丞だったが、虚ろなまなざしの翠から、ようやく引き抜いた。

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